Date: 8月 28th, 2019
Cate: 老い
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DISCOVER AMERICA; Summer Of 1965

写真家・野上眞宏さんの写真展、
「DISCOVER AMERICA; Summer Of 1965」が9月11日から28日まで、
西武新宿線・新井薬師前駅に近くのスタジオ35分で開催される。

そのポストカードに、こうある。
     *
まだ17歳だった1965年の夏、立教高校でアメリカ旅行に行った。
その時の12本のエクタクローム・スライド・フィルムで撮った写真が、
私のその後の人生に大きな影響を与えた。
それがなければ、はっぴいえんどの写真もニューヨークの写真も
撮らなかったであろう。
つまり、これらの写真が私の原点である。
     *
読んでいて、羨ましく思った。

いま別項で、KEFのModel 303を中心とした組合せについて書いている。
そこに書いているように、ステレオサウンド 56号に載っていた瀬川先生の組合せだ。

56号は1980年9月に出ている。
私にとっての17歳の夏だった。

偶然にも、そのころ鳴らしたかった、聴きたかった組合せを、
いまごろになってようやく実現できるようになっている。

けれど、写真と音は違う。
303にしても、AU-D607にしても、もう40年以上前の製品である。
程度のよいモノであっても、新品とはいえない。

そんなことはわかっている。
仮にタイムスリップして、当時のオーディオ機器を、新品のまま、現在に持ってこれた、としよう。

それでも、17歳の私が、これらの組合せを手に入れたとして、どういう音を鳴らせた。

いまの私が鳴らす音は、ずいぶん違っているであろう。
セッティング、チューニングの技術は、40年のあいだに、そうとう身につけた。

なので第三者が聴いて、いい音だ、と判断する音は、確実に鳴らせる。
けれど、それは17歳の私が鳴らしたであろう音とは違う。

野上さんは、17歳の時に撮ったフィルムをスキャンして、
画像処理してプリントしたものを展示される。

その意味では、1965年当時の写真そのままではないわけだが、
1965年の野上さん、17歳の野上さんでしか撮ることのできなかった写真が再現されている。

そこには17歳の野上さんがいる、
少なくとも17歳の野上さんの感性が記録され、よみがえっているわけだ。

音は、そういうわけにはいかない。
17歳の私の音を、いまの私が再現できるわけではない。

そこを羨ましくおもう。

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