カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(その6)
カセットテープの音に、どこかふわふわしたところを感じ、
それが安定感のなさにつながっているように感じもする私は、
熱心にカセットテープの音に取り組んできたとはいえない。
メタルテープが出れば、関心をもった。
もったけれど、メタルテープ対応のカセットデッキを買うにはいたらなかった。
ナカミチが1000ZXL、さらに1000ZXL Limitedを出したときも、
すごいモノだなぁ、と思いながらも、そのおもいに憧れは含まれていなかった。
なので1000ZXLを持っている人をうらやましく思うことはなかったし、
1000ZXLを買えるだけの余裕があるのならば、
ルボックスかスチューダーのカセットデッキが欲しい、と思っていた。
カセットデッキの性能として、1000ZXL以上は求められないであろう。
1000ZXLの音をきいたことがないわけではない。
700ZXLの音も聴いているし、
そのころNHK-FMで放送されたシルヴィア・シャシュのライヴを録音したとき、
ステレオサウンド試聴室にあったケンウッドのL02Tと700ZXLを使った。
カセットテープでも、これだけの音で録れるのか、と感心もした。
それでも、その録音したテープを聴くのには、ソニーのウォークマンWM2だった。
カセットテープと私とのつきあいは、その程度だった。
夢中になることはなかった。
7月のaudio wednesdayのテーマをカセットテープにしてからも、
だからといって、準備になにかやっていたわけでもない。
そんな私でも、いざ、ひさしぶりにカセットテープでの音楽をまじめに聴いていると、
こういう聴き方を忘れていたような感覚があった。