カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(その3)
セッティングが終り、まずグラシェラ・スサーナを鳴らした。
グッドマンのAXIOM 150はしばらく鳴らしていなかったのだろう、
そんな感じのする音でもあった。
AXIOM 150は30cm口径のダブルコーンのフルレンジ型ユニット。
優に四十年以上前のスピーカーである。
五十年といってもいいだろう。
そういうスピーカーユニットなので、ワイドレンジなわけがない。
ほどよくナロウレンジの音が鳴ってくる。
カセットデッキのTC-K555ESXも、頻繁には使っていない、
つまり電源を入れていなかったのかもしれない。
とにかくしばらく鳴らし続けていた。
音は、それだけで変ってくる。
AXIOM 150でモノーラルで音を鳴らしながら、
アルテックのシステムのセッティングをしていた。
今回のテーマを思いついたときには、
ずっとAXIOM 150でモノーラルでだけ鳴らそうと考えていたけれど、
その後、喫茶茶会記の店主の福地さんが、
ソニーのラジカセ(ステレオの2ウェイ)を用意してくれた。
ならばアルテックも鳴らそうと考えを改めた。
とにかくそんなふうにして音を鳴らしていた。
ミュージックテープはステレオ録音である。
スピーカーは一本。
なのでアンプでモノーラルにして鳴らしている。
こういう鳴らし方だから、ヴォーカルのみ、といいたくなる鳴り方だ。
ヴォーカルの後方で、いろんな楽器が鳴っているけれど、
モノーラルゆえに際立つことはほとんどない。
聴いていて、そうだそうだ、ラジカセで、モノーラルで聴いたいたグラシェラ・スサーナは、
こうだった、と思い出していた。
同時に、あのころラジカセとは距離が、近かったことも思い出した。