ケーブルはいつごろから、なぜ太くなっていったのか(BTSの場合・その1)
BTS(放送技術規格)にもスピーカーケーブルの項目はある。
一芯あたり0.18mm径の30本撚りの、二芯平行ケーブルとなっている。
つまり赤黒の一般的なケーブルが、これにあたる。
このケーブルの場合、インピーダンスは110Ωくらいになる。
スピーカーシステムのインピーダンスは、4Ωから16Ωくらいである。
その意味ではインピータンスマッチングはとれていない。
それにもともと駆動源であるパワーアンプの出力インピーダンスは、
トランジスターアンプであれば、0.1Ωを切るほどに低い。
ここにインピーダンスマッチングの考えは、ないともいえるのだが、
スピーカーケーブルのインピーダンスがスピーカーのインピーダンスよりもかなり高いということは、
ケーブルでの減衰が発生することになる。
1970年代にビクターが発売していたスーパースピーカーコード(JC1100シリーズ)というのがある。
0.18mm径の7本撚りを十六芯平行ケーブルにしたもので、
このスピーカーケーブルのインピーダンスは13Ω程度とかなり低くなっていた。
ではこのスーパースピーカーコードは、理想に近いといえたのか。
少なくとも一般的なケーブルよりもインピーダンス的にはそういえなくもないが、
ビクターのこのケーブルだと、アンプが発振する場合もある、と聞いている。
プロ用機器のラインレベルでは、インピーダンスマッチングについて、
昔の機器であれば重要であったことは確かだ。
MC型カートリッジの昇圧トランスにおいても、
場合によってはインピーダンスマッチングがかなり有効なこともある。
ならばスピーカーにおいても──、
とつい考えたくなるが、ここにおいてはまだ答を出せずにいる。