オーディオ入門・考(Dittonというスピーカー・その4)
(その2)で引用した瀬川先生の文章に文章について、
facebookでコメントがあった。
読んでいてワクワクした、と。
そしてこんなふうにワクワクする文章が、いまのオーディオ雑誌からなくなってしまっている、とも。
こんなことを書くと、
いや、いまのオーディオ雑誌にもワクワクするような文章が載っている──、
そう思う人もいるであろう。
でも、そのワクワクと、コメントをしてくれた人のワクワクは、同じとは私には思えない。
少なくとも私も、いまのオーディオ雑誌にはワクワクしない。
ワクワクする文章は、そこにはまったく載っていないからだ。
瀬川先生の文章にワクワクしない人で、
いまのオーディオ雑誌に載っている文章にワクワクする人は、
勝手な想像ではあるが、おそらく自分の持っているオーディオ機器、
欲しいと思っているオーディオ機器について、称賛されている文章が載っていれば、
それだけでワクワクできる人なのかもしれない。
瀬川先生の文章はそれだけではない。
瀬川先生の書かれるものには、俯瞰という視点がはっきりとある。
オーディオ評論家(商売屋)の人たちには、その視点がまずない。
現在のオーディオを広く見廻しての俯瞰もあれば、
オーディオの歴史を見ての俯瞰もある。
それらの俯瞰という視点を持たない人の書くものには、深みも広がりもない。
そんな文章にワクワクすることは、絶対にない。
そんな文章しかかけない人たちが何人いても、
オーディオ入門にふさわしい本は出来てこない。