日本のオーディオ、これまで(ラックスCL32・その11)
ラックスは、オーディオ機器のデザインに、
少なくとも高い関心をもっていた会社だった、はずだ。
もちろんすべてのデザインが優れていたとはいわないが、
デザインに無関心な会社ではなかった。
けれど1980年のCL34、同時期に出てきたアナログプレーヤーのPD555などに、
首を傾げたくなるところが見受けられるようになってきた。
CL34について、この項で以前書いている。
PD555は、それ以前の製品PD444とよく似た外観である。
PD444がダイレクトドライヴ型に対し、PD555はベルトドライヴになっているし、
バキューム機構も搭載している。
これらの違いが関係してのことだろうが、PD555を正面からみると、
臓物(モーターなど)がキャビネット下部に丸見えになっている。
トーンアーム取付ベースに、オーバーハング修整用の目盛りをつけるなどして、
こまかなところに配慮しているだけに、よけいに上記のちぐはぐさが目につく。
PD444と似た外観にする必要はなかったのではないか。
デザインを新たにして、臓物が露出しないようにしておくべきだったのに、なぜかやっていない。
1980年頃のことだというのは、承知している。
そのころのデザイナーは、いまのラックスにはいないはずだし、
ラックスという会社もいろいろあって、いまに至っている。
なのに、こういうところだけは引き継がれているように感じる。