Digital Integration(ハードウェアシミュレーター・その1)
セータからDSP搭載のD/Aコンバーターが登場したのは、1980年代の終りごろだったか。
そのころ日本にはセータは正式に輸入されていなかった。
それでもちょっと話題になったのは、
DSPを使って、カートリッジを、いわばシミュレーションしていたからである。
実際に製品に触れることはなかったし、どの程度のレベルだったのかもわからないが、
アナログディスク再生の良さを、CD再生でも、ということで、
いくつかのカートリッジの音をシミュレーションしているようだった。
そのひとつに光悦も含まれていた、と記憶している。
イロモノ的な見方もされていた。
その実力はどの程度だったのだろうか。
少なくとも、セータのD/Aコンバーターが、
私の知るかぎりでは最初のハードウェアシミュレーターである。
再生の世界では、その後、この手のハードウェアシミュレーターは登場していないようだが、
録音の世界では、いくつものハードウェアシミュレーターが登場してきている。
イコライザーに関しては、ヴィンテージモデルと呼ばれるようになった昔の機器を、
ソフトウェアで再現しているのが、けっこうな数ある。
ニーヴの1073をモデルとした製品はいくつかあり、
私も、それほど詳しいわけではないが、 Googleで検索していくと、
こんなにもあるのか、と少々驚くし、
さらにはテープレコーダーシミュレーターもある。
マスターレコーダーとして知られるスチューダーのA800のシミュレーターがそうだ。