オーディオの楽しみ方(つくる・その18)
「かっこいい音だな」というのは、
実のところは「かっこいい録音だな」である。
それはわかったうえで、「かっこいい音だな」を嬉しく受け止めていた。
そのディスクにおさめられているのがかっこいい録音であっても、
それが必ずしもかっこいい音で鳴ってくれるわけではない。
いい音で鳴ってくれたとしても、かっこいい音だな、と思わせるかどうかは、
微妙なところで違ってくることでもある。
かっこいい録音がかっこいい音で鳴ってくれるくれるための条件とは……、
なかなか難しく、いまのところ、これとこれとこの条件を満たせば……的なことはいえない。
とにかくSICAのフルレンジユニットは、CR方法と、もうひとつのことで、
文字通り見違えるほどよくなった。
振動板の質が良くなったようにも聴こえるし、
別項でも書いているように、聴感上のS/N比の向上が、
聴感上のfレンジの向上に結びついている。
今回やったことを施す前の音は、トゥイーターが欲しくなる感じだった。
今回の音はトゥイーターが不要とまではいわないが、これはこれでいいな、と思えるし、
この状態まで最低でももってきたうえで、トゥイーターを追加すべき、だとも思う。
高域がのびいていない、もう少し繊細な音が欲しい、とか、そういう理由で、
すぐにでもトゥイーターを付ける人はけっこう多い。
つい先日も、あるサイトで小口径フルレンジにトゥイーターを追加した記事があった。
個人サイトではない。
タイミングのいい記事というか、とにかく読んだ。
40年前に読んだ記事かと思うほどに、何ら進歩を感じない内容だった。
こんな記事は、これまで何本も見てきた。
その記事は初心者向けに書かれているのだろう。
編集者からの要望通りの内容なのだろう。
そのへんのことはわかったうえで、
その記事を読まされる初心者は恵まれていない、といおう。
あまりにも安易すぎるのだ。
昔のままの安易さが、そのまま残っている。