スペンドールのBCIIIとアルゲリッチ(その4)

BCII、BCIIIの型番のBはウーファーの振動板に採用しているベクストレン(Bextrene)、
CはトゥイーターHF1300のメーカーであるセレッション(Celestion)の頭文字である。

BCのあとのII、IIIは二番目のモデル、三番目のモデルという意味で、
BCIというモデルが、スペンドールの第一作にあたる。

BCIは日本では発売されなかったが、BBC仕様モニターである。
使用ユニットは、20cmベクストレンウーファーとHF1300の2ウェイで、
エンクロージュアの外形寸法はBCIIと同じ。

BCIIはBCIをベースに、ウーファーの磁気回路を強化し、
スーパートゥイーターとして13kHz以上を受け持つITTのSTC4001を追加している。
このふたつの変更により、耐入力はBCIの40Wから100Wに向上している。

BCIIは、BCIAとして、LSナンバーをもつ正式モデルはないが、BBCでも使われている。

BCIIIは、BCIIに30cmベクストレンウーファーを追加し4ウェイとしたシステムであるが、
スーパートゥイーターはBCIIとは違い、セレッションのHF2000に変更されている。
つまりBCIに、30cmベクストレンウーファーと、
スーパートゥイーターとしてHF2000を追加したモデルと考えた方が、より正確といえる。

BCIは日本に入ってきていないので、ステレオサウンドでも取り上げていない。
なのでインピーダンス特性がどうなっているのか確認できないが、
BCIIのインピーダンス特性は45号に載っている。

5Hzにゆるやなピークを持ち、500Hzから2kHzにかけて10Ω以上、
そこから上の帯域になると低くなり、4kHzあたりからゆるやかな傾斜で上昇していく。

この当時の他社製のスピーカーシステムと比較しても、特に変っているとはいえない。
BCIIよりも、優秀なインピーダンス特性のスピーカーもあるが、
同程度にうねっているスピーカーシステムは他にもあった。

ところが44号掲載のBCIIIのインピーダンス特性は、相当に奇妙なカーヴを描いている。

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