KEFがやって来た(その17)
Model 105には、レベルコントロールはついていなかった。
この時代のKEFのスピーカーにはどれもついてなかった。
Model 107にも、いわゆるレベルコントロールはついてないが、
KUBEと呼ばれるアクティヴイコライザーが付属していて、
低域のコントロールができるようになっている。
KUBEとは、KEF Universal Bass Equaliserであり、
フロントパネルにツマミは三つ、
左からEXTENSION、Q-FACTOR、CONTOURとなっている。
EXTENSIONはローカットフィルターの周波数の切り替えで、
50Hz、35Hz、25Hz、18Hzの4ポジション。
Q-FACTORは、0.3から0.7まで連続可変となっていて、
0.5がcritically damped、0.3はover damped、0.7はmaximally flat(butterworth)。
CONTOURはレベル調整用で、160Hz以下全体のレベルを±3dBで可変できる。
さらにModel 107のネットワークとスピーカーユニットのあいだには、
Conjugate Load Matching(CLM)と呼ばれる回路が挿入されている。
このCLMにより、Model 107のインピーダンス特性は、
20Hzから20kHzにわたって、4Ωフラットといえる。
通常のスピーカーシステムであれば、f0でインピーダンスはもっとも高くなり、
中高域にも山がいくつか生じ、およそフラットとはいえないカーヴを描く。
CLMが具体的にどういうことをやっているのかカタログからは不明だが、
電流波形の比較がカタログには載っていて、そのとおりであれば、かなりユニークな方式といえる。
具体的なことはネットワークの実物を取り出して、回路図をおこしてみようと考えている。
KEFでは、KUBE、デヴァイディングネットワーク、CLMを含めて、
ハイブリッドクロスオーバーと呼んでいる。