世代とオーディオ(昭和は遠くになりにけり……か・その1)
先週の金曜日は、プレミアムフライデーだった。
2月24日から始まったプレミアムフライデーだけど、
2月、3月までは周りに
「今日はプレミアムフライデーだから……(笑)」という人が何人かいたのに、
私の周りでは誰もいわなくなってしまった。
私も7月のプレミアムフライデーは翌日に、昨日は……、と気づいた。
そのプレミアムフライデーが始まる三日前に、
大分から来られたUさんと会っていた。
会うのは初めてだったけれど、
16時半ごろから22時まで、あれこれ話していた。
もちろんオーディオのことがメインだった。
その時に井上先生のことを話した。
私にとって、最初の井上先生の試聴のことを話した。
以前も書いているように、新製品の試聴だった。
担当は先輩編集者のSさん。
試聴の準備を午前中に終えて、
午後からは試聴室で待機していた。
試聴の時はたいてい編集部のあるフロアーではなく、
試聴室のあるフロアーに直接来られる方がほとんどだったからだ。
まだ明るいうちから試聴室で、井上先生が来られるのを待っていた。
Sさんは、相当待つよ、的なことをいわれていた。
それでも……、と思いながら待っていた。
暗くなっても来られない。
記憶に間違いがなければ22時ごろ来られた。
それが当然のように試聴は始まる。
しかもあれこれ使いこなしをやられていく。
試聴が終ったのは、とっくに日付が変っていた。
いま、井上先生のような試聴をする人はいないだろう。
こういう仕事のやり方は、いまは認められないどころか、
ブラック評論家と云われかねないだろう。
こんなやり方を認めていたら編集部も、ブラックということになるであろう。
当時はブラック○○という表現はなかった。
あったとしても、そんなふうにはまったく思わなかったはず。
楽しかった、興味深い時間だったからだ。
それでもいまでは認められない仕事のやり方になるのだろう。
プレミアムフライデーという制度が生れてくるくらいだから。
昭和の時代に、ステレオサウンドで仕事をしていた、ということを、
最近あらためて実感している。