セッティングとチューニングの境界(その9)
システム全体の音をどこまで振れるか。
これはもうオーディオの想像力がなくてはできないことだ。
しかも反対方向にも振るのだから。
その反対方向がどの方向なのかを見定めるのも含めて、オーディオの想像力なくしては無理である。
トーンコントロール変化量は、上限も下限も、アンプによって決っている。
その範囲内だけでツマミを動かすだけ、ともいえる。
スピーカーユニットの位置決めもそういえなくもない。
ただしこちらは位置を動かすことは、
ウーファーとの相対的な位置関係が変化するだけでなく、
エンクロージュア上部への加重の掛かり方も変化していく。
それにともないエンクロージュアの振動モードが変化していく。
そのため物理的な位置の中間が、中点とは限らない。
とはいえ振り幅はわかりやすい、といえる。
オーディオの再生系には、こうした振り幅が各所にある。
かなりの数あり、その振り幅の組合せが、システム全体の振り幅なのだから、
これを把握しようとして、
すべての振り幅をひとつひとつ確かめて、順列組合せの数だけ確かめることは、
まず無理といえる。
順列組合せの数といっても、たいした数ではないじゃないか、
という人はセッティングというものがわかっていない。
実際はものすごい数になる。
仮に時間をかけて、順列組合せの数すべての音を確かめたとして、
それでシステム全体の振り幅がどのくらいなのかを把握できるとは限らない。
結局、システム全体の振り幅を見極めるのは、オーディオの想像力であり、
チューニングにはオーディオの想像力が必要だという理由でもある。