Date: 12月 29th, 2016
Cate: オプティマムレンジ
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オプティマムレンジ考(その11)

ダイナミックレンジのひろい録音を家庭で鳴らすことの難しさは、
40年ほど前から指摘されていることである。

周波数レンジもダイナミックレンジも広い方がいいに決っている。
生の演奏そのままを録音できるようになるのは、確かに技術の進歩である。

けれど、それは録音系の話であって、
再生系となると、必ずしもそうとはいえない。

再生系では音量設定の自由がある。
人に迷惑をかけないのであれば、どんな音量にも設定できる。

ダイナミックレンジが広すぎる録音に文句をいうのは、
満足な音量が出せないリスニングルームしかもてない者の言い分でしかない──、
という人もいるかもしれない。

でも、音量設定の自由があるから、家庭で人は音楽を聴く。
実際の演奏そのままの音量で聴ける環境であったとしても、
ひっそりとした音量で聴きたい人もいる。

広く響きの豊かな部屋で、ひっそりとした音量で鳴らすのもオーディオである。
実際の演奏よりもずっと大きな音で鳴らすのも、オーディオではあり、である。

ダイナミックレンジの広すぎる録音は、
その音量設定の自由を聴き手から奪ってしまうことにつながっていく。

その意味で、現在のプログラムソースは、バベルの塔に喩えられる。
ただし、録音と再生はわけて考える必要がある。

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