オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(ヤマハのA1・その6)
ヤマハのA1が新鮮に映ったのは、ヒンジドパネルの採用にある。
1970年代後半からアンプにヒンジドパネルを採用するモデルは増えていったが、
A1登場以前は、プリメインアンプで採用しているモノはなかった、と記憶している。
セパレートアンプにはいくつかあった。
けれどヤマハのセパレートアンプCI、C2、BI、B2は採用していなかった。
ヤマハのオーディオ機器でヒンジドパネルを使ったデザインのモノは、
チューナーのCT7000だけだった。
CT7000は当時220,000円するチューナーだった。
A1は最高クラスのプリメインアンプではなかった。
けれどヤマハは、ヒンジドパネルを採用している。
CT7000とA1のヒンジドパネルは、同じではない。
CT7000では一枚のフロントパネルの一部がヒンジドパネルになっている。
A1のフロントパネルは三分割されたようにデザインされていて、
そのうちの一枚全体がヒンジドパネルとなっている。
こういうヒンジドパネルは、それまでなかったはずだ。
そこにA1のデザインの大胆さを感じたのかもしれないし、それが新鮮と映ったようである。
その時思ったのは、ヤマハはCA2000のデザインに、なぜヒンジドパネルを採用しなかったのか。
CA1000IIIとCA2000のデザインは同じといえる。
パッと見で、CA1000IIIとCA2000のデザインの区別はつかない。
CA2000にはヒンジドパネル採用のデザイン案があったのではないだろうか。
もしくはCA2000の上級機としてのCA3000というモデルが構想されていて、
そこでヒンジドパネルを採用したのだろうか。
とにかくA1には軽い昂奮をおぼえていた。
けれど実機のA1をオーディオ店で見た時には、すこしがっかりした。
広告の写真で見て感じた精度感が、そこになかったからだ。
特に三つの正方形のプッシュボタンがそう感じさせた。
REPLY))
雑誌STEREOの表紙裏に掲載されたA1の広告を最初に見た時、しばらく目が釘付けになりました。あまりにも斬新で、しかも美しく、工業デザインの頂点なのではないかと思いました。
物置にそのA1が転がっておりますが、精度感は確かにないですね。後続機の透明ボタンと違って不透明で、中心部分が明るく周囲が暗い照度ムラがあるからかもしれません。