素材考(柔のモノ・その2)
SAECのSBX3を使ったプレーヤーシステムを組むとなると、
ターンテーブルシートも、SAECの金属製のSS300ということになる。
ここにゴム製のシートを使ったのでは、全体のポリシーが統一されなくなる。
ゴム系の素材だけでなく、フェルトなど柔らかい素材を追求する理由は、
メーカーによって多少違うところはあるだろうが、支点の明確化のはずだ。
この理屈は理解できるし、賛同もできるが、
実際にはアナログプレーヤーは振動を扱い、振動から無縁ではいられないモノであり、
完全にゴム、フェルトなどの柔らかい素材を排除して、
理屈通りにうまくいくものだろうか、という疑問は、そのころからあった。
トーレンスのReferenceも金属の塊といえるプレーヤーだが、
アームベースには木を使っているし、アイアングレインなども使って、
振動をうまくコントロールしているように見受けられる。
Referenceのターンテーブルシートは厚手のフェルトである。
メーカーが実験室で、熱心なオーディオマニアがリスニングルームで、
いわば試作機としてあれこれ試してみるのはいいし、
そこから得られた成果をメーカーは実際の製品に反映してくれればいい。
オーディオガラのプレーヤーキャビネットは、
想像するにかなり扱い難い性質のモノであったはずだ。
個人のリスニングルームは実験室ではない。
そこにおいて、うまい結果を得るには、妥協点というか、
ゴムやフェルトの柔らかい素材をうまく使っていくしかない、と考える。
高剛性をつきつめていくと、
最終的にはレコードの材質が塩化ビニールであることにぶちあたる。
素材として、塩化ビニールは柔のモノである。