2016年ショウ雑感(その7)
オーディオに興味を持ち始めたころ、熊本に住んでいた。
東京でオーディオフェアが開催されていることを羨ましく思っていた。
中学、高校のころ、ずっとオーディオフェアに行きたい、と思っていた。
オーディオフェアでは満足な音は聴けないことは、当時から指摘されていたし、
そのことは知っていたけれど、それでも行きたいと思ったのは、
オーディオフェアが楽しそうに映ったからである。
インターナショナルオーディオショウの前身は輸入オーディオショウである。
輸入オーディオショウは、いわばオーディオフェアから独立したともいる。
オーディオフェアの大規模な会場よりも、
少しでも満足の行く音を聴いてもらうために、九段のホテルを会場として第一回が開催された。
そして、いまは国際フォーラムを会場として、
音を出す場としては、オーディオフェアよりも、九段のホテル時代よりも良くなっている。
このことは、けっこうなことであるが、
このことが、いまのインターナショナルオーディオショウの雰囲気につながっているようにも感じる。
オーディオフェアは楽しかった。疲れもするけれど。
輸入オーディオショウの第一回のときは、ステレオサウンドにいた。
前日搬入の夕方に九段のホテルに取材に行っている。
輸入商社の人たちが、みな楽しそうだったことを憶えている。
このころからすれば、若い人のオーディオ離れがいわれるようになってきている。
これらの雰囲気の違いを知る者からすれば、当然だととも思う。
若い人のオーディオ離れの原因はひとつではないはずだが、
そのひとつはインターナショナルオーディオショウからは、
オーディオフェア、輸入オーディオショウにあった楽しそうな雰囲気があまり感じられない。
音を出す条件として良くなっていったことが、来場者を変えてしまった、ともいえないだろうか。
音を判断しすぎていないだろうか。