世代とオーディオ(ガウスのこと・余談)
ガウスのユニットがウェストレックスのスピーカーシステムに採用されたことは、
すでに書いている。
このニュースを知ったのは無線と実験だったが、
ステレオサウンドにも、ガウス搭載のウェストレックスのスピーカーシステムが載ったことがある。
ここまでは憶えていたけれど、
その記事が何だったのか、どの号だったのかを正確に思い出せずにいた。
ステレオサウンド 60号の「サウンド・スペースへの招待」に、
ガウス搭載のウェストレックスのスピーカーシステム、RA1775が出ている。
写真をみればすぐに気づかれると思うが、赤坂工芸のホーンが使われている。
隣に置かれている4343よりも少し背が低く、横幅は広い。
少しずんぐりしたプロポーションのエンクロージュアをもつシステムについて、
記事中では、次のように説明されている。
*
ところで、4343の隣に置いてある見慣れないスピーカーは、ウェストレックス(オリエント)の試作品でRA1775というものです。小泉さんの子供の時から親友が近所に居られ、現在ウェストレックスの取締役をされていて、しょっちゅう一緒に音楽を聴いているのですが、今度ガウスのユニットを使って新しいスピーカーを試作したから聴いてみようということで、タンノイを一時2階に片付けて、数日前からここに置いて試聴しているのだそうです。
エンクロージュアは赤坂工芸の製作によるものですが、ガウスの4583Aウーファーを鳴らすための大型のしっかりした箱とHF4000ドライバーのための木製ホーンが特色です。一番上に1502トゥイーターが乗って、800Hz、8kHzのクロスオーバーによる3ウェイ構成となっています。まだ試作品ですし、この部屋に擱いたばかりで、部屋との調整ができていない段階ではありますが、人の声などがとても自然で、今後の鳴らしこみが期待されるということでした。ガウスといえば、ロックコンサートなどのPA用のスピーカーだと思いこんでいたのですが、ここで聴くとなかなか渋いちょっとドイツ的な音がするようですとの小泉さんの感想です。
*
RA1775。
型番は完全にウェストレックスである。
あまり鮮明でない写真をみると、ネットワークも赤坂工芸製のようである。
赤坂工芸はガウスのユニットを採用した3ウェイのスピーカーシステムを出している。
RA1775よりも大容積のエンクロージュアをもつモノだった。
RA1775がその後どうなったのか詳細はわからない。
でも、RA1775が完成し、少量でも市販されていたら……、と考えてしまう。
ガウスの評価はもう少し変っていただろうし、もう少し広く認知されていたのではないだろうか。