コピー技術としてのオーディオ、コピー芸術としてのオーディオ(その3)
デジタルはどうだろうか。
パソコンの中にあるデータをコピーし続けたとする。
外付けのハードディスクにコピーしたとする。
そのハードディスクから別のハードディスクにコピーする。
これを何度もくり返す。
アナログと同じように百回行ったとする。
百回目のコピーとなったハードディスクに記録されているデータと、
パソコンの中のデータ(つまりオリジナル)とを比較して、
データとして違っているところがあるだろうか。
どんなに大きなデータであっても、どれだけコピーをくり返そうと、
データは同じである。そっくりにコピーされている。
だからコピーといえる。
アナログの場合はコピーしていけば、確実に何かが劣化していく。
そうなるとコピーとはいわずに、ダビングといったほうがいい。
デジタルであるなら、伝言ゲームであいだにどれだけ多くの人が介在していても、
最初の人が発した情報は、最後の人にまで正確に伝わっていく。
この伝言ゲームで考えたいのは、
アナログの場合、介在する機械の特有の特性・特徴によって、
インプットとアウトプットにおける変質の具合が影響を受けることである。