続・再生音とは……(その21)
再生音とは何かについて考えていくうえで、再生音の定義もはっきりさせていく必要がある。
再生音の定義とは? と問われ、はっきりと答えられるだろうか。
そんなの簡単じゃなないか、という人もいるが、
その人たちが再生音の定義について答える。
それに反論がある。また答える。
さらなる反論がある……。そういうことをくり返していって、どこまで答えられるだろうか。
再生音の定義。
ひとつには、記録されたものを元に出した音がある、とする。
アナログディスク、CD、カセットテープなどに記録されているものを元にして、
アンプで増幅しスピーカーを鳴らす。これも再生音であるなら、
作曲家が残した楽譜を元に演奏家が音を出すのもまた、再生音といえないだろうか。
音符という記号を使い、作曲家が作曲したものを残している。
それを演奏家が楽器を使い、自分の声によって、音にする。
それは実演であって、再生音とはいえない、と反論があるだろうが、
厳密に考えていくと、ほんとうにそういえるのだろうか……、と私は自信を失っていく。
そんなことまで考えていく必要があるのだろうか。
そういう疑問も持たないわけではない。
けれども、再生音について考えていくとは、そういうことだと私は思っている。