Date: 11月 30th, 2015
Cate: audio wednesday
Tags:

第59回audio sharing例会のお知らせ(スピーカーの変換効率とは)

12月のaudio sharing例会は、2日(水曜日)です。

今回のテーマは、意外にもにもいろんなことを思い出させてくれる。
五年前に「確信していること(その1)」を書いた。
たった三行である。

瀬川先生が追い求められていた音とは、
クレデンザ、HMVの♯202、203といったアクースティック蓄音器の名器の音を、
真の意味でワイドレンジ化したものだった、と確信している。

これは私にとって長い間考え続けてきているテーマでもある。
良質の、というよりも極上のアクースティック蓄音器の音をワイドレンジにできるのか。

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオ」ALTEC号で、瀬川先生が書かれていることを、
このことに関連して思い出す。
     *
 そこで再びアルテックだが、味生氏の音を聴くまでは、アルテックでまともな音を聴いたことがなかった。アルテックばかりではない。当時愛読していた「ラジオ技術」(オーディオ専門誌というのはまだなくて、技術専門誌かレコード誌にオーディオ記事が載っていた時代。その中で「ラ技」は最もオーディオに力を入れていた)が、海外製品ことにアメリカ製のスピーカーに、概して否定的な態度をとっていたことが私自身にも伝染して、アメリカのスピーカーは、高価なばかりで繊細な美しい音は鳴らせないものだという誤った先入観を抱いていた。
 味生氏の操作でシュアのダイネティックが盤面をトレースして鳴り出した音は、そういう先入観を一瞬に吹き払った。実に味わいの深い滑らかな音だった。それまで聴いてきたさまざまな音の大半が、いかに素人細工の脆弱な、あるいは音楽のバランスを無視した電気技術者の、あるいは一人よがりのクセの強い音であったかを、思い知らされた。それくらい、味生邸のスピーカーシステムは、とびきり質の良い本ものの音がした。
 いまにして思えば、あの音は味生氏の教養と感覚に裏づけられた氏自身の音にほかならなかったわけだが、しかしグッドマンとアルテックの混合編成で、マルチアンプで、そこまでよくこなれた音に仕上げられた氏の技術の確かさにも、私は舌を巻いた。その少し前、会社から氏の運転される車に乗せて頂いたときも、お宅の前の狭い路地を、バックのままものすごいスピードで、ハンドルの切りかえもせずにグァーッとカーブを切って門の中にすべりこませたそれまで見たことのなかった見事な運転に、しばし唖然としたのだが、音を聴いてその驚きをもうひとつ重ねた形になった。
 使い手も素晴らしかったが、アルテックもそれに勝とも劣らず、見事に応えていた。以前聴いたクレデンザのあの響きが、より高忠実度で蘇っていた。最上の御馳走を堪能した気持で帰途についた。
     *
これを改めて読みなおしてより確信している。
そして、アクースティック蓄音器の響きを、より高忠実度で蘇らせるには必要なことはなんだろう、と考える。
絶対条件とは断言できないけれど、スピーカーの変換効率の高さは深く関係しているような気がする。

低能率のスピーカーシステムからは、そういう音は絶対に出てこない──、
これもまた断言できずにいる。
出てくるのかもしれないが非常に出難いように、いまのところは感じている。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]