オーディオ機器の調整のこと(その13)
SMEのヘッドシェルのS2と3009/SeriesIIIのシェル部分を比較すると、
ずいぶんと大きさが違う。
3009/SeriesIIIのシェルは小さい。
S2にも3009/SeriesIIIのシェルにもSMEのロゴがあるが、
その位置はS2カートリッジ取りつけのためのビス穴よりも手前側なのに対して、
3009/SeriesIIIのシェル部分はビス穴よりも奥にある。
つまり3009/SeriesIIIのビス穴はシェル部分の先端に開けられている。
そのためカートリッジを取りつけると、カートリッジボディの半分ほどは露出するかっこうになる。
いいかえれば3009/SeriesIIIのシェルとカートリッジの接触面積は、
一般的なヘッドシェルよりも小さい。
この点において、3009/SeriesIIIはカートリッジを選り好みすることになる。
SMEの3009/SeriesIIはシュアーのV15のためにつくられたトーンアームであが、
3009/SeriesIIIはその点どうだろうか。
少なくとも3009/SeriesIIIに合うのは、V15 TypeIVだといえる。
V15 TypeIIIを取りつけることは3009/SeriesIIIは考慮していない、と思っている。
V15のTypeIIIとTypeIVはカートリッジの形状が違っているからだ。
TypeIVはヘッドシェルと接触する面の面積が狭い。
取りつけ部分から先端にかけてTypeIVのボディは傾斜している。
TypeIIIはそうなっていない。もう少し先端までフラットなっているため、
3009/SeriesIIIにとりつけると、その部分がシェルからはみ出して見えてしまう。
この部分は本来使い手の目に触れることのないところである。
その部分が目についてしまう。
TpeIVはそうなっていない。
ヘッドシェルの先端からカートリッジがはみ出した状態でも様になるようにデザインがなされている。
3009/SeriesIIIにはV15 TypeIVと同じようなボディのカートリッジこそが映える。
3009/SeriesIIIと同時代のカートリッジでいえば、
エンパイアの4000D/III、スタントンの881S、ピカリングのXUV/4500Q、XSV/3000、
B&OのMMCシリーズ、ゴールドリングのG900SE、AKGのP8ES、デッカのMark V、
エラックのSTSシリーズなどが挙げられる。
オルトフォンのMC30、MC20KMIIも3009/SeriesIIIに取りつけてみると、
案外いい結果が得られるように思っているが、
これらのカートリッジを取りつけると、見映えの点で゛
V15 TypeIVを取りつけた姿と比較はできなくなる。