ヴィンテージとなっていくモノ(その3)
私の中で、ワディアとマークレビンソンとが重なっていったのは、
聴いた時の驚きだけが理由ではない。
LNP2の登場は、トランジスターアンプの新しい時代を切り拓いた、と高く評価される一方で、
LNP2の繊細すぎる音は神経質であり、気になってしまう、という意見もけっこうあった。
それからナルシシズムを感じさせる音ゆえに……、という意見もあった。
ポジティヴな評価とネガティヴな評価があった。
それだけLNP2は注目されたコントロールアンプだった。
少なくとも、誰もが一度は聴いてみたい、と思っただろうし、
実際に聴いた人も多かったからこそ、
ポジティヴな意見・評価とネガティヴな意見・評価があれこれ出て来たともいえる。
ワディアの D/Aコンバーターも同じような現象だった。
私は高く評価した。
私だけではなく、多くの人が高い評価をするのと同じくらい、
その高性能さは認めるものの、実際の音は、どこか違和感をおぼえる、
なにか人工的な印象を拭えない……、そういったネガティヴな評価も少なからずあった。
そういったポジティヴな意見・評価とネガティヴな意見・評価が徐々に耳に入ってくるようになって、
こういうところもマークレビンソンのLNP2と同じだな、と思っていた。