Date: 7月 24th, 2015
Cate: 岩崎千明, 瀬川冬樹
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岩崎千明と瀬川冬樹がいない時代(その2)

瀬川先生は1981年11月7日に亡くなられた。
私は1982年1月からステレオサウンドで働くようになった。
だからというべきなのかもしれない、
瀬川先生がいない時代を直接肌で感じることができていた、と思っている。

何を感じていたのかというと、
いくつかのオーディオメーカーの勢い、輝きが失われていったこと、
さらには劣化していったと思えるメーカーがあったことである。

こんなことを書くと、瀬川先生に否定的な人たちは、
そんなことがありえるわけはないだろう、単なる偶然だ、というに決っている。

それでもあえて書く。
オーディオ界ははっきりと瀬川先生の死によって変ってしまった。

例えばマークレビンソン。
LNP2、JC2による成功、そしてML2で確固たる世界を実現・提示して、
ML7、ML6Aまでは順調に成長していったといえる。
けれど瀬川先生の死と前後するようにローコストアンプを出してきた。
ML9とML10、ML11とML12。

これらのセパレートアンプを見て、がっかりした。
こんなアンプしかつくられないのか、と。

マークレビンソン・ブランドのローコストアンプが市場から望まれていたことはわかる。
私自身も望んでいた。

けれど、それは例えばジェームズ・ボンジョルノがGASでやっていたのと同じレベル、
もしくはそれをこえたレベルでの話である。

ボンジョルノはアンプづくりの奇才と呼ばれていた。
それはなにも最高級のアンプをつくれるだけではない。
パワーアンプではAmpzillaに続いて、Son of Ampzilla、Grandsonを出してきた。

どれをとってもボンジョルノのアンプであることがわかる。
外観も音も、はっきりとボンジョルノがつくったアンプである。

Ampzillaが欲しくても予算の都合で、いまは購入できない。
そういう人がGrandsonを選んだとしても後悔はしない。

Grandsonで楽しみ、お金を貯めてAmpzillaを買う。
Ampzillaを手にしたからといってGrandsonの魅力が薄れるということはない。

むしろトップモデルのAmpzillaを手にして聴き較べてみることで、
Grandsonの魅力を新たに感じることもできよう。

マークレビンソンのアンプはどうだろうか。
LNP2+ML2を買えない人がML11+ML12を買ったとしよう。
マークレビンソン・ブランドのローコストアンプに、GASのアンプのような魅力があっただろうか。

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