五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(その8)
コンデンサーは振動する部品である。
コンデンサー型スピーカーの原理からもわかるように、
コンデンサーの電極の振動を完全になくすことは無理なのではないだろうか。
そういう部品であるコンデンサーなのだから、同じ品種のコンデンサーであれば、
容量が違えば大きさが違ってくる。
容量が小さければサイズは小さくなるし、容量が大きくなれば直径が太くなり、長さも増す。
つまり電極のサイズが大きくなり、巻いてあるタイプでは巻数が違ってくる。
振動するものだから、電極のサイズと巻数の違いは、共振周波数の違い、モードの違いとなってくる。
そう考えるべきだろう。
小容量のコンデンサーと大容量のコンデンサーでは、機械的共振が違ってくる。
電気的特性の違いに、この機械的共振の違いが関係してくる。
それから電解コンデンサーは、けっこうフラックスを漏らしている。
1980年代にはいってからのパイオニアのオーディオ機器を内部をみると、
電解コンデンサーに銅箔テープを巻いてあった。
電解コンデンサーの周囲をぐるっと一周、
さらに電解コンデンサーの頭の平らなところには丸く切った銅箔テープが貼られていた。
これは自分のアンプやCDプレーヤーでも簡単に実験できることだし、
気にくわなければ銅箔テープを剥すだけで元通りになるのだから、いくつか試してみた。
音ははっきりと変化する。
どう変るのかは、簡単に試せることなので、興味のある方は自分の耳で確認してほしい。
ということはコンデンサーの容量とその使い方によって、
電気特性、機械的共振、フラックスの分布が、それぞれ変化しているわけだ。
だから小容量の点でンサーは応答速度が速い──、
というのは、五極管を三極管接続すれば電気特性が等しくなるから……、
というのと同じことである。