Date: 4月 18th, 2015
Cate: 日本のオーディオ
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日本のオーディオ、これまで(その2)

私がオーディオに関心・興味をもちはじめた1976年は、すでにMC型カートリッジのブームのはじまりだった。
オルトフォンからはSPUに代るモノとして成功したといえるMC20が登場していた。

けれどそれ以前のMC型カートリッジはどんなモノがあったのかというと、
オルトフォンでは、この会社の代名詞といえるSPUの他は、
決して成功とはいえなかったSLシリーズがあったくらい。

瀬川先生がいわれたことがあった。
いまのMC型カートリッジのブームは、日本ではMC型が作られ続いていたことが大きい、と。
いわれてみると、たしかにそうである。

有名なデンオンのDL103シリーズの他に、
フィデリティ・リサーチのFR1、スペックスのカートリッジ、サテンの独特な発電構造によるカートリッジ、
ダイナベクターもあったし、武蔵野音響研究所の光悦もあった。

もしこれらの日本のMC型カートリッジが存在していなかったら、
MC型カートリッジのブームは起らなかったであろう。

MC型カートリッジのブームは、日本だけの現象ではなかった、ともきいている。
むしろ海外において日本のMC型カートリッジが見直されて起ってきた、という話もある。

MC型カートリッジのブームについて話された時に、
瀬川先生はこんな話もされた。

カートリッジの製造原価はそんなに高くはない。
なのにMM型よりもMC型は高価になってしまうのは、おもに人件費がかかるから。
MM型と違い、MC型カートリッジはほとんど手づくりゆえに、つくれる人が限られるし、
製造できる個数も少なくなる──、そんな内容だった。

手先が器用だとはいわれる日本人にとって、MC型カートリッジは向いていた、
そういってもいいかもしれない。

とにかくMC型カートリッジは日本のメーカーによって続いてきたことは事実である。

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