Date: 3月 30th, 2015
Cate: ロマン
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オーディオのロマン(その9)

デ・ローザのオレンジ色のフレームの自転車(ロードバイク)を買った。
デ・ローザというイタリアのフレーム・ビルダーのことは、おおまかなことぐらいは知っていた。
けれど、私がいわば一目惚れして自分のモノとしたフレームに関しては、ほとんど何も知らなかった。

こういうモデルがあったのか、と後で知ったくらいで、
フレームにはCOLUMBUS(イタリアのパイプメーカー)の、
どのパイプが使われているのかを示すシールが貼られているので、
SLXという当時スタンダードなパイプだということがわかったくらいである。

いまならば気になるフレームについてはインターネットで検索すれば、
インプレッション記事が見つかることが多い。
いまでは自転車雑誌もインプレッション記事が増えているけれど、
1995年当時の自転車雑誌には、インプレッション記事はさほど多くはなかった。

私が買ったフレームについての情報は何もなかったに等しい。
一台の自転車として完成され展示したのを見て、衝動買いに近いかたちで自分のモノとした。

この時の買い方で私が選択したのは、芝大門にあるシミズサイクルという自転車店だけといえる。
どのフレームにするのか、それ以外のコンポーネントはどうするのか、
ほとんど決めていなかった。
予算をある程度決めていただけで、それすらも四割ちかくオーバーしてしまった。

買うと決めたのは確かに私なのだが、私がデ・ローザのオレンジ色のフレームを選んだ、といえるだろうか。

後日シミズサイクルの方にきいた話だが、
私が購入して一週間後ぐらいに、地方の方から問合せがあったそうだ。
その人は、東京に住んでいる友人がシミズサイクルで、デ・ローザのオレンジ色のフレームを見て、
その人に連絡したそうである。

シミズサイクルには同じフレームのサイズ違いの在庫はあった。
けれどそれは私には大きすぎたし、その人にとっても大きなフレームだった。

私があの時、もし、もう少しこのフレームの情報を集めて、
それからじっくり購入するかどうかを判断していたら、ほぼ間違いなくその人のモノになっていたであろう。
そうなっていたらきっと後悔していたことも間違いない。

間違いのない選択のために情報を集め判断するわけだが、
そのための時間で後悔することだってあるのは、自転車だけではない、オーディオも同じだ。

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