日本のオーディオ、これまで(その1)
私が熱心にステレオサウンドを読んでいたころも、
私がステレオサウンドで働いていたころも、
日本のオーディオ機器には個性がない、とか、オリジナリティがない、とか、
海外オーディオのモノマネの域を脱していない、などよくいわれていた。
そういう面がまったくなかったとはいわない。
これらを言っていたのは、確かな人たちであり、なぜいわれるのかも納得はしていた。
けれど、ふり返ってみれば、その時代の国産MCカートリッジに関しては、
それらのことはあてはまらない、とはっきりいえる。
1970年代後半にMC型カートリッジのブームがおきた。
それまでMC型カートリッジに積極的でなかったメーカーも製品を出しはじめた。
これらのカートリッジの詳細と図解は、ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIES 2を参照してほしい。
長島先生による本である。
この本こそ、ステレオサウンドは電子書籍化して、
これから先何十年経っても読めるようにしてほしいと思う。
HIGH-TECHNIC SERIES 2の図解をみていけば、誰もが気付く。
国産MC型カートリッジの構造のオリジナリティに、である。
鉄芯巻枠を使った、いわゆるオルトフォンタイプのMC型もあるが、
ここから完全に脱却した各社独自のMC型カートリッジがいくつもの登場している。