真空管アンプの存在(その7)
ミュージック・リファレンスも登場していた。
主宰者のロジャー・モジャスキーによると、同社のコントロールアンプRM5と
カウンターポイントのSA5の回路はそっくりらしい。
ふたつの回路図を見ると、使っている真空管は6DJ8だし、基本回路構成はたしかに似ている。
とはいえ回路定数はもちろん違うし、コンストラクションも大きく違う。
ただミュージック・リファレンスとカウンターポイントに共通していることは、
どちらも真空管でMCカートリッジ用のヘッドアンプを製品化していることである。
ミュージック・リファレンスがRM4、カウンターポイントがSA2が、それぞれの製品だが、
真空管全盛の時からアンプをつくってきたメーカーが考えもしない、
アマチュア的な挑戦を、いい意味で感じさせてくれるところは、
新興メーカーならではの強みかもしれない。
とはいえ、どちらも聴いたことがあるが、誰でもが容易に使えるというレベルには、
残念ながら達していなかった。
思うに、これらのメーカーのエンジニア、主宰者が使っているスピーカーの能率は、
極端に低いものなのかもしれない、
だからこのノイズレベルでも、おそらく問題とならないのだろう、と。
当時、ステレオサウンドの試聴室のスピーカーのJBL 4344はカタログ上は93dBである。
真空管アンプ全盛のころのスピーカーと比べるとけっして高くはないが、
それでもアメリカから登場した真空管アンプにとっては、能率の高いスピーカーなんだろうと思える。
ミュージック・リファレンスのRM4、RM5の型番から気がつかれているだろうが、
ビバリッジのRM1RM2の設計もロジャー・モジャスキーである。
そしてビバリッジはコンデンサー型スピーカーのメーカーでもあった。