確信していること(その2)
クレデンザでもいい、HMVの♯202(203)でもいい、どちらかの音、そのよさをそのままに、
周波数特性(振幅特性、位相特性ともに)だけでなく、ダイナミックレンジ、それに指向特性までふくめて、
ワイドレンジにすることは、ほんとうにできるのだろうか、
そういう音は、じつは聴き手の中にしか存在しない音なのかもしれない。
それでもけっして無理なことではないはず。
そう気づいたときに、「虚構世界の狩人」ということばの重みが変ってきた。
「虚構世界の狩人」という題名をつけられたのは、音楽之友社の佐賀氏だ、と同著のあとがきにある。
佐賀氏が、何故、この題名にされたのかはわからない。
ただ瀬川先生自身、この「虚構世界の狩人」を気に入っておられたことは、わかる。
いま、この「虚構世界」が、アクースティック蓄音機の音をワイドレンジにする、という、
およそなしえないことのようにおもえる「音」の世界に重なってきてしまう。
アクースティック蓄音機は、機械仕掛けの音である。
現在のオーディオは、電気仕掛け(むしろ電子仕掛けといいたいくらい)と機械仕掛け、
それも電気仕掛けのウェイトがあきらかに大きい。
アクースティック蓄音機に対して、電蓄と呼ばれていたころのモノとは大きく違ってきている。
電蓄という言葉がつかわれていたころの、代表的なモノが、デッカのデコラである。
「デッカの電蓄」といえるデコラの音は、アクースティック蓄音機の音を、
電気仕掛けのなかに、すこしだけワイドレンジ化することにうまくいった、そういう音だと感じている。
とはいっても、デコラはワイドレンジというよりも、むしろナロウレンジではある。
それほど高音も低音も伸びていないし、ダイナミックレンジもむしろ抑えぎみといった印象を受ける。
それでも、アクースティック蓄音機よりは、やはりワイドレンジになっている。
REPLY))
ご無沙汰しています。「虚構世界の狩人」のタイトルは誠に素晴らしいと今も感じています。仏教のことがよく解るわけではありませんが、「色即是空 空即是色」からすれば、現実世界も思念の世界も大差はないでしょう。自身が望む虚構世界とは何なのか、その虚構世界を探し求め何とか構築したくて長年もがき彷徨っています。
でも少し考え方を変えれば実は今其処にあるのかもしれません、自分が未熟なだけなのでしょうか、解りません。
さて本ブログで時に話題となるKEF5/1A・BBCモニターは、わたしの友人宅の素晴らしい空間で最近復活し驚くほどの音質で鳴っています。40年前後の古さを微塵も感じさせることもなく優雅な鳴り具合です。わたしの耳には少しもナローには感じません、むしろ大人の持つ風格、品格、そして本当の優しさ、そんな風に響きます。アンプは往年のラックスマンLX360で、これまた最高の状態を維持しているようです。ラックスマンもやるものです。
近々現在最高と信じるプレーヤーが導入され、この銘器を鳴らすことになります。親しい友人のことでもありますが、我がことのようにその日を待ち焦がれる心境です。
ベートーヴェンを心から愛しウィーンに何度も飛ぶ、こんな友人が用意した天井高4メートル、中2階を含めて約20畳の空間の響きに、瀬川さんも微笑んでくださるのではないでしょうか。
REPLY))
いつもコメント、ありがとうございます。
虚構世界──、「青い鳥」なのかもしれませんね。