ゴジラとオーディオ(その1)
1954年公開のゴジラは、着ぐるみの中に人がいた。
ゴジラは大きく、街を破壊していく。
ゴジラに壊されていく建物はミニチュア造形物である。
いまから60年前のゴジラは、特撮によってつくられている。
特撮とは特殊撮影技術の略称。
私が子供のころ、すでに特撮ものは流行っていた。
映画のゴジラだけでなく、ガメラもあった。他にもいくつかの怪獣ものの映画がつくられ公開されていた。
テレビではウルトラマン、仮面ライダーのシリーズが始まっていた。
限られた予算、限られた時間でつくられる特撮は、
2014年のCG(Computer graphics)によるCGI(Computer-generated imagery)ゴジラと、
1954年の着ぐるみゴジラの違い以上に、
ある意味貧弱なものだった。
それでもぼくらは夢中になってみていた。
特撮のアラは子供の目にもすぐにわかる。
しょぼい、と感じるところは多々あっても、おそらく、そのとき夢中になっていた私と同年代の子供らは、
心の中では現在のCGIゴジラのようなものを描いていたのではないだろうか。
テレビでの特撮では、こんなふうだけど、制作している人たちの理想はこんなふうではないのか。
そうやって特撮ものを数多くみてきた者にとって、1993年の映画「ジュラシック・パーク」は衝撃だった。
着ぐるみでもない、ミニチュアでもない恐竜がスクリーンに映し出されていたからだ。
その「ジュラシック・パーク」から約20年。
いまはCGIゴジラがスクリーンに登場している。