Date: 6月 25th, 2014
Cate: アナログディスク再生
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電子制御という夢(その12)

シュアーのV15 TypeIV以前にもカートリッジの先端にブラシを装備したモデルはいくつかあった。
シュアーと同じアメリカのメーカーで、ピカリング、スタントンのカートリッジにはブラシがついていた。

これらのブラシは非常に簡単なつくりで、指で触るとフラフラしている。
これらのブラシは静電気とレコード盤上のホコリの除去のためであり、
これらのブラシといっしょにされたくないというシュアーの広告は理解できる。

V15 TypeIVのブラシ(ダイナミック・スタビライザー)には粘弾性ダンピング剤が使われていて、
実際に指で触ってみれば、制動がかかっていることがすぐにわかる。

V15 TypeIVの広告をみた人ならは記憶されているだろうが、
反ったレコードをトレースするカートリッジの図が載っていた。
ひとつはシュアーのV15 TypeIV、もうひとつはダイナミック・スタビライザーをもたないカートリッジである。

図には点線でカートリッジの上下動の軌跡を示してある。
通常のカートリッジでは反りにさしかかったところでカートリッジ盤面との間隔が縮まり、そして広がり、
この広がりは反りの反対側の傾斜の途中で最大になる。
そして反りを通りすぎて平らなところにカートリッジがあっても、
反りによって生じた上下動はすぐには収束せずに、ここでも上下動により間隔の変動が生じている。

V15 TypeIVはというと、反りのところでも間隔は常に一定である。
反りのところでは反りに追従しているし、不要な上下動をダイナミック・スタビライザーで制動しているためか、
平らなところにうつってもそのまま間隔は一定である。

この間隔とは、レコード盤面とカートリッジとの距離であるわけだが、
図をみれば、この間隔の変動にともない、別の間隔も変動していることがわかる。

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