Date: 1月 4th, 2014
Cate: きく
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舌読という言葉を知り、「きく」についておもう(その9)

古書店に行くと、まれにではあるが、驚くほどきれいな状態の昔の雑誌が並んでいることがある。
ステレオサウンドに関しても、そういうことがある。
最近のバックナンバーのことではなく、20号から40号くらいにかけてのバックナンバーが、
よくこんなきれいな状態で残っているな、と感心してしまうほどのものがあったりする。

すでに出版されていない本で手に入れたいのであれば、
古書店で並んでいるのを買う。
新品があればそれにこしたことはないが、そうもいかない。
心情として、できるだけきれいな状態であってほしい。

値段は高くなるけれど、そういう状態の本はありがたいともいえる。

けれど、ともおもう。
なぜこんなにきれいなのか、と。

このステレオサウンドを出版された当時に買った人は、
ほんとうにじっくりと読んでいたのだろうか。
決して安い雑誌ではないから、買って帰れば、一度はページをめくっているはず。
でも一度、もしくは二度三度くらいなのかもしれない。

きれいな状態の古書が残っているのは嬉しいことである。
だが、その本はほんとうに読まれたのか、と、
少なくとも本づくりにたずさわってきた者は、そんなこともおもってしまう。

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