オーディオ・システムのデザインの中心(その14)

スピーカーケーブルやラインケーブルを部屋の真ん中を這わせないようにする。
そうすればたいていの場合、ケーブルの長さは真ん中を這わせるよりも長くなる。
それだけでなく、ラインケーブル同士が交叉したり平行になったりする。
スピーカーケーブルとラインケーブルが平行になることはあまりないだろうが、交叉することはあるし、
さらに電源コードの近くをスピーカーケーブルを這わせることにもなる場合がある。

そうなればケーブル同士の干渉が起るし、それにより音質の劣化は生じる。
ならば部屋の真ん中をケーブルを這わせた方が音はいいのに、なぜ?
と思う人がいるだろうし、そういう人は部屋の真ん中を這わせている人ではないだろうか。

菅野先生は、部屋の真ん中をスピーカーケーブルが這っている人の音を、
悪い、とはいわれなかった、と記憶している。
「まともだったことはない」──、そういうふうにいわれた。

菅野先生はレコード演奏家論を提唱されている。
オーディオマニアをレコード演奏家としてとらえた場合に、
スピーカーケーブルを何の恥じらいもなく、
むしろ堂々と部屋の真ん中を這わせている人(レコード演奏家)は、
演奏家としては、テクニックだけに終始するタイプということになる、と受けとめることもできる。

少なくとも、私は菅野先生がそういわれるのをきいていて、そう思っていた。

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