チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その11)
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオ」のパイオニアの号における三井啓氏の記事中には、
Exclusive F3のデザインに関する記述もある。
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デザイン部にとって、デザインが最も難しく、その進行が最も難航したのは、FM専用チューナーである。等間隔、ロングスケールのダイヤルをどのように処理し、四個のメーターをどのように配置し新しさのなかにどのように高級感を表現するかが彼らの最大のテーマであった。
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中学生、高校生のころ、
よくオーディオ機器のスケッチ(落書きといっていいもの)をよく描いていた。
欲しいアンプやスピーカーのスケッチであったり、
自分で考えたオーディオ機器のデザインのスケッチであったりした。
コントロールアンプはよく描いた。
あまり描かなかったのはテープデッキだった。
まったく描かなかったのはチューナーだった。
アンプといっても、コントロールアンプとパワーアンプとでは、そのデザインはまったく違う。
とはいえ、私のなかでは、アンプというひとつの括りの中にあった。
けれどチューナーとなると、アンプの仲間でもないし、デッキの仲間でもない。
入力機器とはいえ、アナログプレーヤーの仲間でもない。
たとえばステレオサウンド 43号のベストバイの特集では、
スピーカーシステムのベストバイのページがあった。
そのあとに広告がはいりプリメインアンプのベストバイ、
続いてコントロールアンプ、パワーアンプのベストバイ、そしてチューナーのベストバイのページ。
このあとにまた広告がはいりテープデッキのベストバイのページという構成になっていた。
ステレオサウンドが以前出版していたHI-FI STEREO GUIDEでも、
プリメインアンプのあとにコントロールアンプ、パワーアンプ、
チューナー、レシーバー、その他のアンプという順序で掲載されていた。
これらを読んできているから、チューナーはなんとなく、電子機器ということもあって、
アンプの仲間なのか……という認識はあったけれど、チューナーのスケッチを描くことはなかった。