複数のスピーカーシステムを鳴らすということ(その9)
10代、20代のときは、私もスピーカーの擬人化をよくやっていた。
とくに20(ハタチ)前後の時は、そうだった。
そういうときはおもしろいもので、
擬人化がうまくできないスピーカーシステムには対してはあまり、というか、ほとんど関心がなかった。
それに擬人化も、女性に譬えられるスピーカーシステムに関心があったし、
惚れ込むスピーカーシステムも、そうだった。
それがいつしか薄れていった。
擬人化という捉え方をしなくなっていった。
当時は、擬人化をしなくなっていた自分に気づいていなかった。
この時期は、ふり返ってみると、
スピーカーシステムにできるだけ忠実な変換器としての性能を、
それまでよりも強く求めるようになっていたことに気づく。
それはちょうどダイヤトーンのDS1000が出たころ、
井上先生の使いこなしによる音の変化・整えられ方に強く影響を受けていたころと重なっていく。
ダイヤトーンのDS1000は型番からもわかるように、
ヤマハのロングセラー・モデルであるNS1000Mをターゲットにしている。
どちらも3ウェイのブックシェルフ型、しかし開発年代は違う。
DS1000はダイヤトーンがダイヤトーンなりにスピーカーの動作を解析していった結果の、
あの時期の集大成ともいえる面ももっていた。
それだけにDS1000は、鳴らし方の難しいスピーカーシステムでもあった。