オーディオ機器の調整のこと(その11)
軽量・軽針圧用という思い込みを払拭して眺めてみれば、
3009/SeriesIIIこそが、SME初のユニバーサル・トーンアームなのではないか、と、そうも見えてくる。
カートリッジの交換は自分で使ってみるまでは、
ヘッドシェル交換型に較べると面倒なような気もするだろうが、
交換用パイプCA1を複数本(つまりカートリッジ本数分)持っていれば、
カートリッジの交換はむしろやりやすくなっている。
CA1は1977年当時、9500円していた。
3009/SeriesIIIの価格は65000円。
チタニウムを硬化処理したパイプということを考えれば、決して高価とはいえない。
当時の単売されていたヘッドシェルの一般的な価格からすれば、
数倍の値付けがされているのだから、高いと思う人もいたかもしれない。
このころは、もうヘッドシェルもけっこう高価なものが登場していた。
たとえばフィデリティ・リサーチのFR-S/4はアミルブロックからの削り出しということもあって7500円していたし、
ソニーのSH160はカーボンファイバーにアルミカバーを取り付けた仕様で、これも7500円だった。
サエクのULS3Xは、酸化アルミニウム結晶体で、11000円と飛び抜けて高価だった。
CA1はヘッドシェルとパイプが一体になっていての9500円である。