世代とオーディオ(JBL 4301・その1)
1977年春ごろ、JBLから4301というスピーカーシステムが登場してきた。
20cm口径のウーファーと3.6cm口径のコーン型トゥイーターを組み合わせた、
エンクロージュアの高さが48.3cmという、ブックシェルフ型である。
価格は一本65000円だった。
このスピーカーのことが、4月のaudio sharingの例会ですこし話に出て来た。
私より上の世代のOさんは、4301には特別な思い入れはないとのことで、
そのころ大学の寮で友人に買わせた4301と、同じくJBLの2ウェイのブックシェルフ型L26との比較をしたら、
L26のほうが断然音は良かった、らしい。
価格的には4301とL26の差はそれほどない。
L26が少し高いだけで、同価格ともいえなくもない。
だから4301の比較対象としてL26はたしかにあり得るのだけれど、
L26のウーファー口径は25cmで、4301と同じ仕様のコンシューマー版となるとL26の下のモデルL16になる。
おそらくL16と4301との比較であれば、4301のほうが高い評価になるかもしれないが、
L26との比較となると、4301はその程度のスピーカーという評価になってしまうのかもしれない。
事実そうであろう。
それでも4301には思い入れが、私にはある。いまでもはっきりとある。
4301は4350、4343をフラッグシップとするJBlのスタジオモニターの中で、
当時高校生だった私にも、無理をすればなんとか手が届きそうな、そういうところに位置していた。
憧れの4343ではないけれど、
4300シリーズのスピーカーシステムが高校生になったばかりの若造にとって、
現実的な価格とサイズで出て来たのだ。
しかもステレオサウンド 46号での瀬川先生の評価もなかなかいい。
それもジャズやポップスだけがうまく鳴るのではなく、
クラシックもそこそこ鳴ってくれる、とあった。