サイズ考(その59)
出力を2系統もつコントロールアンプはいくつかあるが、その大半は2組の出力端子を単に並列接続しているだけで、
2系統のオーディオ機器が並列に接続される場合のループについて配慮されているわけではない。
出力端子ごとにラインアンプを専用にそなえている、
つまり2組(4チャンネル分)のラインアンプをもつコントロールアンプがあったとしても、
コントロールアンプ、パワーアンプ間の信号ループの重なりがすこし減りはするものの、
電源部まで含めたループは、いまだ複雑なままである。
それにモジュール形式のコントロールアンプで、ライン入力の音を聴くさいに、
フォノイコライザーモジュールを取り外すと、それだけで音は改善される。
私が実際に試した例ではマークレビンソンのJC2、GASのテァドラだが、
どちらもフォノイコライザーがなくなりラインアンプモジュールのみとなると、
あきらかな聴感上のSN比の向上だけでなく、
音場感の広がり、余韻の消えていくさまの表情が際立ってくる。
それに力強さも増す。
不要なモジュールがなくなったことによる電源部の余裕が増したこと、
フォノイコライザーモジュールが発するノイズがなくなったこと、などによる音の変化である。