ロングランであるために(その13)
オーディオ専用部品を使っていることは、製品登場時点では謳い文句になる。
が、製造中止になり数年、もしくは10年以上が経過して故障した場合には、
オーディオ専用部品を使っていたことが、修理のネックになってしまうことも充分ある。
だからといってオーディオ専用部品を使っているオーディオ機器は購入しない方がいい、とは言いたくない。
わずかな音の差を求めて、当時、オーディオ専用部品まで手がけて、という開発姿勢は、
なにかをもたらしている、と思っているからだ。
パイオニアはガラスケース入りの電解コンデンサーを採用していたからこそ、
1980年代後半、パイオニアのアンプやCDプレーヤーに使われている電解コンデンサーには、
銅テープが貼られるようになった。
マネして、手持ちのアンプ、CDプレーヤーで試したことがある。
この銅テープを電解コンデンサーに巻くのは、部品交換とは違い、
音が悪くなった、自分が求める方向とは違うベクトルになってしまった、という場合には、
銅テープをはがせば、元の状態に戻せる。
これが部品交換となると、元の部品を外すためにハンダをとかすために熱を加える。
新しい部品をハンダつづけするためにも熱を加える。
結果、好ましくなかったときに元の部品に戻したとしても、同じ音は戻ってない。
熱を何度も加えることにより、取り外した部品だけでなく、時には周辺の部品も熱で劣化させているからだ。
銅テープを電解コンデンサーに巻くのは、こういうデメリットがない。
ハンダづけのための熱をくわえるわけではない。
ただテープの巻きつけるだけ、である。
ただ部品が密集していると巻きつけにくいことはある。
パイオニアが銅テープを巻くようになったのは、
やはりガラスケース入りの電解コンデンサーを採用した経験からのような気がしなくもない。
もちろんガラスケースに入れることと同じ効果を、銅テープを巻くことで得られるわけではない。
それでも、ここには何かひとつのつながりがある、と私は思いたい。