Archive for category 朦朧体

Date: 5月 4th, 2010
Cate: 朦朧体

ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その4)

10代のころ、女性ヴォーカルものに夢中になった、熱中したという人も多いと思う。
クラシック、ジャズを、いまは主に聴いていたとしても、
若いころからクラシック(もしくはジャズ)が音楽を聴くきっかけだったとしても、
男として、異性の声に惹かれるものがあるだろうから、
クラシックやジャズ、ロックという音楽のジャンルではなく、女性ヴォーカルという音楽ジャンルが、男にはある。

高校1年ごろのころだったか、FM誌(当時はFM fan、週刊FM、FMレコパルがあった)のどれかが、
女性ヴォーカル特集の別冊を出したこともこともあった。

話は少しそれるが、この本で、実はケイト・ブッシュの存在を知った。
東京歌謡音楽祭での写真が載っていた。

胸のあいだにマイクロフォンをはさみ、パントマイム的振付けで躍るケイト・ブッシュの写真を見て、
「この人の歌は、聴くことはないなぁ」と思っていた。

その本が出て、そんなに経っていない時期に、NHK-FMが、月曜から金曜までの夕方の1時間の番組を、
女性ヴォーカルを特集したことがあった。

女性ヴォーカルの本にも載っていた人たちが、偶然にも取りあげられていた。
1日ひとりの特集で、そのなかのひとりがケイト・ブッシュだった。

録音するつもりは、なかった。ただカセットテープがあまっていたのと、
他の4人を録音するのだから、いちおう放送される人全員録音しておこう、そんな気持だった。

Date: 4月 27th, 2010
Cate: 朦朧体

ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その3)

中学、高校時代と、カバンに入っていたのは教科書ではなくステレオサウンドだった。
教科書は、すべてとはいわないけど教室の机の中に置きっぱなし。
毎日、家と学校のあいだを往復していたのはステレオサウンドと、他のオーディオ雑誌だった。

授業中にこそ読まなかったけど、休み時間のすこしのあいだでも、ステレオサウンドのページをめくっていた。
レコードだったら、溝がすりきれるくらいのいきおいで、ステレオサウンドを読んでいた。

まだ、どういう音を求めているのか、そんなことはわかっていない時期でもあったが、
それでもここまで読んでいると、なんとなく、そして自然に、「この人の感性に近いかも……」と思えてくるものだ。

それが私には、瀬川冬樹だった。
また、このころは、女性ヴォーカルものに、惹かれていた時期でもあった。

Date: 4月 25th, 2010
Cate: 朦朧体

ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その2)

4343ほどではないにせよ、1970年代後半において、マークレビンソンのアンプも、
またスターといっていい存在だった。

4343、マークレビンソンのアンプ以外にも、スター的存在のアンプやスピーカーシステムはあった。
ただ、それらのいずれもが、4343、マークレビンソンと比較すると、旧世代のスターといえなくもない、
そういうところを感じさせるなにかを、オーディオをはじめたばかりの若輩ものでも感じていた。

ステレオサウンドを、41号、42号、43号……と読み続けていくほどに、
4343とマークレビンソンの組合せを、いつの日か……と思いはじめていた。

同時に、瀬川先生の文章にもつよく惹かれていった。
それは、重ね合わせる行為でもあった。

Date: 4月 25th, 2010
Cate: 朦朧体

ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その1)

オーディオに興味をもちはじめた1976年。この年のおわりちかくに、JBLの4343が登場した。
はじめて買ったステレオサウンド 41号、ほぼ同時に発売されていた別冊「コンポーネントステレオの世界 ’77」、
どちらも、4343を大きく取り扱われていた。

41号では表紙に、真正面から撮った静かな迫力の4343がまずあり、
特集の「世界の一流品」でも、登場したばかりの4343は取りあげられている。
「コンポーネントステレオの世界 ’77」のなかの、11通りの組合せで、4343は2回、登場してくる。

なにか特別扱いされいてるスピーカーだ、ということは、初心者にもはっきりと伝わってきていた。
そして、なによりも4343はカッコいいスピーカーシステムだった。
いわばスターだったのかもしれない。
そうでなければ、ペアで100万円超すスピーカーシステムが、日本国内だけで、
いまとなっては考えられない数が売れた理由がみつからない。