ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その3)
中学、高校時代と、カバンに入っていたのは教科書ではなくステレオサウンドだった。
教科書は、すべてとはいわないけど教室の机の中に置きっぱなし。
毎日、家と学校のあいだを往復していたのはステレオサウンドと、他のオーディオ雑誌だった。
授業中にこそ読まなかったけど、休み時間のすこしのあいだでも、ステレオサウンドのページをめくっていた。
レコードだったら、溝がすりきれるくらいのいきおいで、ステレオサウンドを読んでいた。
まだ、どういう音を求めているのか、そんなことはわかっていない時期でもあったが、
それでもここまで読んでいると、なんとなく、そして自然に、「この人の感性に近いかも……」と思えてくるものだ。
それが私には、瀬川冬樹だった。
また、このころは、女性ヴォーカルものに、惹かれていた時期でもあった。