Archive for category High Resolution

Date: 8月 2nd, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこと(Decorate the Sound)

今日(8月2日)から8月15日までの二週間、
伊勢丹新宿店 本館五階で、“Decorate the Sound”が開催されている。

おもな出展社はB&WとKEFの二社といっていいだろう。
他にも数社出展しているけれども、メインはこの二社。

といっても本格的な試聴ができるわけではない。
なのに、ここで取り上げているのは、KEFのコーナーでMQAでの音出しだったからだ。

スピーカーシステムはもちろんKEFのBlade 2 Meta、
アンプはデビアレ、CDプレーヤーは使わずにdCSのBartókでストリーミング。

ビリー・ジョエルがかかっていた。
Bartókのディスプレイには、MQA.の表示が。
MQA Studioでの再生である。

Bartókに接がっているのはラインケーブルとLANケーブルのみ。
ストリーミングでの再生で、MQAということはTIDALということになる。

デパートでの試聴環境だから、決していいわけではない。
ここで聴いたからといって、MQAのよさがきちんと伝わってくるのかはなんとも微妙なのだが、
こういうところでもMQAが使われていること、それを伝えたいだけである。

Date: 7月 29th, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その7)

MQA破綻のニュースが流れてから、もうすこしで四ヵ月が経つ。
アンチMQAの人たちは喜んでいた。

けれど、MQAでの配信は続いているし、
アルバムの数も増えていっている。

昨日(7月28日)、ハイペリオン(Hyperion Records)もストリーミングを開始した。
Apple Music、Amazon Music、Spotifyなどで配信が始まっている。
e-onkyoでも扱っている。

もちろんTIDALも、だ。
そして嬉しいことに、TIDALではMQAでの配信である。
すべてのアルバムというわけではないが、
けっこうな数のアルバムがMQAで聴ける。

個人的にはスティーヴン・イッサリースがMQAで聴けるようになったのが嬉しい。
MQAでの配信は拡がっていっている、といえる。

Date: 7月 5th, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その6)

決定なのかどうかは、いまの時点ではなんともいえないけれど、
TIDALはこれからもMQAでの配信を続けていくようだ。

同時に、これまで44.1kHzだったFLACの配信に、
192kHzまでの配信が加わる、とのこと。

やっぱりそうだろうな、と納得する。
MQAの配信を止めてしまうと、
他のストリーミングサービスと、あまり違わなくなってしまうからだ。

MQAがなくなったTIDALは、Qobuzとどれだけ違うのか。
完全に安心できるわけではないが、急にMQAの配信がなくなることはなさそうだ。

Date: 5月 7th, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その5)

ドイツ・グラモフォンは、TIDALでの配信でMQAをやめるのだろうか──、
そう思わせるほどけっこうな数のタイトルがMQAではなくなっているのだが、
5月5日に配信が始まったマリア・ドゥエニャスのアルバムはMQAなのだ。

MQA破綻のニュースが流れて一ヵ月が過ぎた。
TIDALでは、MQAの配信がいまも続いている。

e-onkyoは、Qobuzへのサービスの切り替えのためにMQAでの配信を終了した。
そのQobuzも、年内には日本でのサービスが開始される、といわれている。

始まるのかもしれないし、もしかすると来年以降になってしまうのかもしれない。
そんな気がしないでもないのは、TIDALがなかなか開始されないからだ。

おそらくなのだが、TIDAL、Qobuzにしてもサービス開始の障害となっているのは同じなのだろうから、
どちらかが先に始まるということは考えにくい。

始まるとしたらほぼ同時期になるのではないだろうか。

Date: 5月 1st, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その4)

TIDALは、どこの国のアカウントなのかによって、
配信のラインナップは多少違うときいている。

どのくらい違うのかは、アカウントをひとつしか持っていないので確かめようはないが、
例えばロドリーゴ・イ・ガブリエーラは、
アメリカのアカウントでアクセスするとMQAで聴けるアルバムは、
最新のアルバムぐらいしかない。

けれど、どうもカナダのアカウントだと他のアルバムもMQAで聴けるようなのだ。

さきほどfacebookを眺めていたら、
ケイト・ブッシュのアルバムもMQAで聴けなくなった、という投稿があった。

すぐさま確認したらMQAではなくなっている。
ケイト・ブッシュに関しては、e-onkyoで全アルバムをMQAで購入しているので、
しまった! と思うこともがっかりすることもないけれど、
この投稿へのコメントで、他の国の人は、数枚のアルバムはまだMQAだ、とあった。

(その3)でドイツ・グラモフォンのMQAのアルバムの多くが削除されている──、
と書いたが、これはアメリカのアカウントだからなのか、
もしかするとドイツのアカウントならば、まだMQAで聴けるアルバムが残っているのか。

Date: 5月 1st, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その3)

昨晩遅くにTIDALで曲をさがしていて気づいたことがある。
ドイツ・グラモフォンのアルバムで、これまでMQAで配信されていたのが、
MQAではなくなってしまっている。

一枚や二枚といった規模ではなく、かなりの枚数がMQAではなくなっしまっている。
かといって、これまでMQAだったアルバムのすべてがそうだというわけではなく、
比較的最近リリースされたアルバムは、まだMQAのままである。

とはいえ、ジュリーニのマーラーの第九、ヴェルディの「リゴレット」、
グルダのモーツァルトのピアノ協奏曲、ケンプのベートーヴェンなど、
一枚一枚あげていくのがたいへんなど、MQAからFLACになってしまっている。

FLACでも、サンプリング周波数がMQAの時と同じであればまだいいのだが、
44.1kHzになっている。

不思議なことに、同じユニバーサル・ミュージックのグループのデッカは、
MQAのままである。

Date: 4月 21st, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その2)

MQA破綻のニュースから二週間経った。
TIDALはかわらずMQAでの配信を継続しているだけでなく、
あらたにMQAで配信がはじまったアルバムもけっこうある。

これらはMQA破綻のニュース前から用意されていたのだから──、
そういうことなのかもしれないが、
破綻のニュース前とかわらぬペースでMQAでの配信は続いている。

Date: 4月 15th, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その1)

facebookで、MQAのグループに入っている。
数日前、このグループの管理をしている人がTIDALに問い合わせしている。

TIDALでのMQAの取扱いについて、である。
いまのところ、すでに配信しているMQAに関しては継続していく、とのこと。

これもいつ覆るかわからないけれども、いまのところ一安心といえよう。

Date: 4月 15th, 2023
Cate: High Resolution, オーディオ評論

MQAのこれから(とオーディオ評論家)

MQA破綻のニュースが流れた。
MQA推しのオーディオ評論家は、ソーシャルメディアでなにか発言しているのか。

はっきりとした情報は得られていない状況だから、
オーディオ業界の人間としては、書きにくい面もあるだろうことは了解している。

それでもこれまでMQAを積極的に評価して、
メリディアンのULTRA DACを自身のシステムに導入している人ならば、
なにかを書いているだろうと思って、その人のtwitterをチェックした。

MQA破綻のニュースのあとにもいくつか投稿されている。
けれどそれらはMQAにはまったく関係ないことばかりで、
MQA破綻については、一言もない。

その人とは、ほとんどの人が誰だかすぐにわかると思うが、麻倉怜士氏だ。
オーディオ・ヴィジュアル評論家なのだそうだ。

ずっと以前から、麻倉怜士氏はオーディオ・ヴィジュアル評論家(商売屋)だと認識している。
他の人たちも商売屋だと思っているけれども、
この人のすごさは、その徹底ぶりであって、プロの商売屋といってもいいだろう。

麻倉怜士氏のマネは、無理だ。
ここまでやれる人は、オーディオ評論家(商売屋)の人たちのなかにもいないだろう。

それでも麻倉怜士氏がMQA、ULTRA DACについて書いているものを読むと、
この人の良心が顕れているともおもっていた。

だから、麻倉怜士氏がMQA破綻のニュースのあとに、何を書くのかが気になっていた。
先ほどの時点でも、何もMQAに関することはない。

このことも、ある意味、見事なプロの商売屋っぷりからなのだろうか。

Date: 4月 13th, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とMacintosh)

MQA破綻のニュースが流れたあとのアンチMQAの人たちの騒ぎっぷり・喜びようは、
パソコンのマッキントッシュのアンチ派の人たちはよく似ているな、と感じている。

Date: 4月 13th, 2023
Cate: High Resolution, MERIDIAN, ULTRA DAC

MQAのこれから(とメリディアン ULTRA DAC)

MQA破綻のニュースから、ほぼ一週間。
断片的な情報が二、三入ってきたけれど、それらを元に今後MQAがどうなるのかかまでは判断できない。

一方でTIDALがMQAからFLACへと移行するというニュースもあって、
アンチMQAの人たちは大喜びである。

MQAの音源は、今後限られたタイトル数になることだって考えられる。
そうなってほしくないけれど、可能性としては十分ある。

となるとメリディアンのULTRA DACの必要性が、個人的にはとても大きくなってくる。
MQA用D/Aコンバーターとしてではなく、通常のCDやFLACの再生におけるULTRA DACの存在だ。

別項で何度も書いているように、ULTRA DACには、独自のフィルターをもつ。
short、medium、longの三種のフィルターである。

これらのフィルターはMQA再生に使えない。
CD、FLACなどのPCMに対して使える機能で、
とても有用性の高いだけでなく、MQAの音を聴いたあとでは、このフィルターなしで、
通常のCD、FLACはできれば聴きたくないと思わせるほどだ。

このフィルターがどういう処理を行っているのかは、詳細ははっきりとしない。
けれどMQAには使えないこと、うまく選択できた時の音の良さからも、
こういうことをやっているのでは、という想像はなんとなくできるけれど、
それが合っているのかどうか、確認しようがない。

音楽ジャンルによって、というよりも録音の仕方・状態などによって、
short、medium、longの選択は変ってくる。

このことも別項で書いてるが、
マリア・カラスの「カルメン」の通常のCDを、
ULTRA DACのshortフィルターで再生した音が、声楽家をめざす人ならば、
この音を手に入れるべき、といいたくなるほどの見事さだった。

製品の規模が違うし、価格も大きく違うから、
同じメリディアンの218でMQAで再生した音よりも、
マリア・カラスのリアリティということではULTRA DACだった。

いまのところULTRA DACでマリア・カラス(MQA)は聴いていない。
その音はさらに素晴らしいのだろうが、
そんなことありえないのだが、MQAの音源が世の中からすべてなくなったとしても、
ULTRA DACがあればそれでいいや、と思わせてくれるほどだ。

三種のフィルターの有用性は聴いた人(使いこなせる人)でないと、
なかなか伝わりにくいのかもしれない。

Date: 4月 10th, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこと、否定する人のこと(その6)

MQA破綻のニュースを目にして、あれこれ思うのは、個人の勝手である。
喜ぼうが悲しもうが、それは個人によって違ってくる。
けれど決めつけるのは、どうかとおもう。

そこで、その人の人柄(本性)がかいまみえてきそうだ。

Date: 4月 7th, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから

今日の午後、MQAが経営破綻というニュースが流れた。
海外のサイトで発表されているし、
ソーシャルメディアでも話題になっている。

新しい買手が見つからなければMQAという会社は破産することになる。

世の中には、このことを喜んでいる人がやっぱりいる。
MQA破綻のニュースを見て、最初に思ったことが、このことだった。

ショックだとか、これからどうなるんだろうかという不安はなくて、
MQAがダメになる、やったー、と喜ぶ人がいて、
ソーシャルメディアに書きこむんだろうな、と思ったあと、
どこかが買収するだろうから、MQAがなくなることはないだろう、と楽観視している。

といっても、どこかが買収の交渉をしているとか、具体的な情報を知っているわけではなく、
根拠なく、そうおもっているだけである。

六十年間生きていると、予期せぬこと、予測できないことが起るものだとおもうようになる。
なのでなるようになるでしょう、と楽観視しているわけだが、
買収してくれるところが現れない可能性もある。
そうなればMQAという会社は破綻して、これから先MQAの音源はリリースされなくなるだろう。

そのことも考えても、それほど不安とか落胆とか、そういう感情がないのは、
MQAで聴きたいアルバムが、かなりの数、MQAにすでになっているからだ。

2021年にソニー・ミュージック、ソニー・クラシカルが全面的にMQA推しになった。
グレン・グールドの全アルバムがMQA Studioで聴けるようになった。

MQAでグールドが聴ける日が来ることは、まったく期待していなかった。
ソニーからMQA対応のハードウェアは発売されていたけれど、
ハードウェアだけなのだろう、と勝手に思い込んでいたから、あきらめてもいた。

そこにグールドがMQAで聴けるようになった。
グールドだけではない、カザルスもジュリーニもライナーも、
挙げたい人はまだまだいるけれど、とにかく愛聴盤として大切におもっているアルバムが、
MQAで聴ける、それもかなりの数が聴けるようになった。

2022年は旧EMIの録音がワーナー・クラシックスからMQAでかなりの数出ている。
それまでも積極的にMQAに対応していたけれど、2022年はすごかった。
フルトヴェングラーは2021年リマスター、
デュ=プレは2022年リマスターでMQAで聴ける。

44.1kHz、16ビットのデジタル録音もMQAになっている。
旧EMIに関しても挙げたい人はまだまだいる。
これからはMQAで聴けるわけだ。

TIDALで音楽を聴くようになって、新しい演奏家をかなり積極的に聴くようになった。
いいなぁ、と感じる演奏家も少ない。

それでも、そういった新しい演奏家の最新録音を立て続けに一週間ほど聴いて、
愛聴盤である古い演奏家の古い録音を聴くと、最新の演奏・録音のほうが色褪てしまう。
輝きが鈍ってしまう。

六十年間生きてきたわけだから、あとまともに聴けるのは二十年ほどか。
その二十年で、新たに愛聴盤に加わる演奏家が、何人登場してくるだろうか。
おそらくわずかだろう。

いまの演奏家が古の演奏家と比較して、という話ではなく、
これまで聴いてきた時代が関係してのことだから、
おそらく二十年で大きく変ることはないはずだ。

だとすれば、愛聴盤の多くがすでにMQAで聴けるのだから、
それで満足といえば満足できる。

ただユニバーサル・ミュージックがもう少し本気でMQAに取り組んでくれたら──、
とは思ってしまう。

カスリーン・フェリアーのバッハ・ヘンデル集だけでもいいから、
MQAにしてほしい。
それからヨッフムのマタイ受難曲も。

他にも挙げたいアルバムはあるけれど、この二枚だけはMQAで聴きたい。

つまり私が、いま二十代、三十代だったら、
今回のニュースを知って、驚き慌てたことだろう。

でも、すでに六十である。
残り時間のほうが少ない。
愛聴盤がある、MQAでけっこう数が聴ける。
ならば、それけで満足しようじゃないか。
たとえ最悪の状況になったとしてもだ。

Date: 4月 5th, 2023
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その4その後)

その4)で、TIDALではMQAで配信されているのに、
e-onkyoではflacしかない、ということを書いた。

ドイツ・グラモフォン、デッカなどのユニバーサル系はMQAも新しく配信されていたが、
旧EMIに関しては、2022年リマスターを含めて、flacだけでMQAがないということが増えた。
すべてをチェックしているわけではないが、旧EMIに関しては、ほとんどそうである。

Qobuzを運営しているフランスの会社、Xandrieへ譲渡されたあとからそうなったことから、
そしてQobuzがMQAを扱っていないことからも、
e-onkyoの方針ではなく、親会社の方針としてMQAを扱わないようにしているのか──、
そう思えていた。

Qobuzのサービスが日本でも開始になれば、MQAは扱われなくなるだろう、とも思っていた。
事実、今日、そういう発表があった。

MQAだけではなく、WAV、DIFF、MLP(Dolby TrueHD)、32ビット音源の配信が終了となる。
配信終了予定日は4月25日。

Date: 4月 2nd, 2023
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その13)

ステレオサウンド 226号がKindle Unlimitedで読めるようになっている。
特集のハイレゾオーディオ2023について書く前に、
新製品紹介で、CHプレシジョンのC1.2のことについて触れておく。

三浦孝仁氏が担当で、
本文中には《本機ではMQAにフル対応していることも大きなトピックといえよう》とある。

けれど続く音についてのところでは、MQAの音についてはまったく触れられていない。
《大きなトピック》だったら、なぜMQAの音について触れないのか。

MQAの音について触れないのであれば、
《本機ではMQAにフル対応していることも大きなトピックといえよう》
と書かなければいい──、個人的にはそう思うのだが。

《本機ではMQAにフル対応している》、そこで終っているだけでいい。
《大きなトピックといえよう》とある。
なのに、実際のMQAの音がどうだったかについて、三浦孝仁氏は一言も書かれていないのをみると、
もしかするとステレオサウンド編集部がMQAを封殺しようとしている──、
そんなふうに勘ぐってしまう。

三浦孝仁氏はMQAの音について書きたかったのかもしれない。
けれどステレオサウンド編集部から、触れるな、というお達しがあったのか。