Archive for category 日本のオーディオ

Date: 7月 17th, 2014
Cate: 日本のオーディオ

山水電気のこと(その2)

「世界のオーディオ」が刊行されていたころは、ちょうどJBLが日本市場で爆発的に売れていた時期でもある。
ペアで100万円をこえる4343が、信じられないほど売れていた時期だけに、
JBL号が出ないのがなんとも不思議だった。出ていたら売れていたはずなのに……。

だから、この疑問もステレオサウンドで働くようになって、
編集部の先輩にきいた「なぜJBL号を出さないんですか」と。

返ってきた答は、編集という仕事についたばかりで、
出版がどういうものなのかもほとんどわかっていなかった私には、いささか驚きのものだった。
「サンスイがお金を出さないからだよ」

いわれてみると「世界のオーディオ」には広告が載っていない。
入らない、ともいいかえられる。

どのメーカー、輸入商社が、他社だけを取り上げている別冊に広告を出すだろうか。
広告がどれだけの比重なのかをまったく考えていなかった私は、
いわれてみればそうだ、と理解しながらも、
サンスイはサンスイ号とJBL号、二冊分の予算を用意しなかったんだ……、と思っていた。

メーカー、輸入商社がどれだけ出していたのか、それは知らないし、特に興味はなかった。
ただいまふり返って思うのは、サンスイとティアックについて、である。

ティアックはタンノイ号を優先した。
ティアック号は出なかった。ティアック号が出てもおかしくはないし、
むしろティアック号が出なかったことが不思議でもある。

ようするにティアックはタンノイを優先した。
サンスイはJBLよりも自社のことを優先した。

当時タンノイも売れていただろうが、
JBLの売行きはそれ以上で、売上高では比較にならないほどだったと思う。
それだけ売れていたJBLの本に対しての山水電気の態度、
それに対してティアックのタンノイの本に対する態度。

この違いが、ティアックは健在でサンスイがこうなってしまったことと、決して無関係とは思っていない。

Date: 7月 17th, 2014
Cate: 日本のオーディオ

山水電気のこと(その1)

山水電気の倒産がニュースになっている。
二年ほど前だったか、事実上倒産状態になっているというニュースが流れていたから、
今回のニュースにさほど驚きはなかった。

twitter、facebookのタイムラインでも、サンスイの倒産は話題になっていて、
あえて検索しないでも、今回の倒産に関してのいくつかの記事へのリンクが表示される。
いくつか読んだ。
なぜ山水電気が倒産したのかについての考察もあった。食い足りなかった。

この記事を書いた人はオーディオマニアじゃないんだな、ということが伝わってくるし、
もしオーディオに関心をもっていた(いる)人であったとしても、
サンスイの製品を実際に見て触って聴いてきた人ではないな、という感じがした。

私にとっての最初で最後のサンスイの製品はAU-D907 Limited。
それから1982年から丸七年間、サンスイのあらゆる製品を見て触って聴いてきた。

それらのことを今回の倒産と結びつけて書こうと思えば書けるのだが、
ここで書くのはまったく違った視点からである。

1970年代後半、ステレオサウンドは「世界のオーディオ」という別冊を出していた。
ラックスから始まり、マッキントッシュ、サンスイ、アルテック、ビクター、パイオニア、テクニクス、
ソニー、オンキョー、タンノイと続いてた。

私はJBLが出るのを期待していた。
が結局、タンノイ号で最後になってしまった。

Date: 6月 21st, 2014
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(その9)

その4)に自転車のカーボンフレームのコピーについて書いた。
アメリカ、ヨーロッパの有名ブランドのフレームも、
本国で作られるモデルもあるが、中国、台湾で作られるモデルもある。

けれどこれらのカーボンフレームに使われるカーボン繊維の多くは日本製である。

カーボンフレームやカーボンホイールをバラしていって、見事なコピーを作れても、
カーボン繊維そのものを作れる(コピーできる)わけではない。

いつの日かカーボン繊維も中国製、台湾製になるだろうが、
その時は日本のカーボン繊維は、いまよりも優れているのではないだろうか。

先のことはわからないから、
日本のカーボン繊維よりも中国、台湾のカーボン繊維が優れる時代も来るかもしれない……。

それでもいわゆる素材の、日本の強みというのは確かにある。
ふり返ってみれば、日本のオーディオは、新素材の積極的な導入でもあった。

ドーム型振動板にベリリウムを取り入れたのも早かった、
カートリッジのカンチレバーにもベリリウムは1970年代に取り入れられていた。

ベリリウムだけでなくボロン、チタン、マグネシウムも登場したし、セラミック、カーボン、人工ダイアモンドなど、
他にもいくつもあって、すべてを書き連ねないが、
実にさまざまな素材がオーディオ機器に取り入れられていった。

このことは日本のオーディオが海外のオーディオに先駆けて、ということとともに、
日本のほかの業種よりも、日本のオーディオは新素材の導入に積極的であったのではないか。

Date: 5月 30th, 2013
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(その8)

おそらくイギリスで復刻したとしても、LS3/5B的なことになってしまうだろう。

それはそれでいいことだとも思うのだが、私が欲しいのはLS3/5Aである。
だから、今回の中国による復刻を高く評価しているし、
ここまでできるか、という気持よりも、このことに関しては日本よりも上なのでは? と、
一時期はオーディオ大国といわれた日本なのに、翳りがみえているというだけでなく、
あきらかに中国、台湾といった後発の国に対して、
負けを認めなければならないことが出てこようとしている──、
そのことに対する「気持」のほうが強い。

たしかに日本はオーディオ大国だった。
オーディオ機器を、自社及び子会社・関連会社内だけで製造できるメーカーとなると、
その多くが日本のメーカーであった。

アンプであれば抵抗やコンデンサーといった受動素子、
トランジスター、FET、OPアンプなどの能動素子すべてをつくれるメーカーは、海外には少ない。

いま非常に高価なアンプやスピーカーを製造している海外のメーカーでも、
トランジスターを自社で開発することはできない。
日本のメーカーは、そういったことを当り前のようにやっていた。

このことが、優れたオーディオ機器をつくり出せることに直結しているかどうかは判断の難しい面もある。
それでも、いまふり返ってみて、日本人として生れ、
日本で育ち日本でオーディオをやっているひとりの人間として、
日本のオーディオ、日本のオーディオメーカーに対して、もっと誇りを持つべきだった──、
といまにしておもっている。

反省を込めて書いているわけだが、
私がいたころのステレオサウンド(1980年代のステレオサウンド)は、
日本のオーディオに対して厳しかった面がある。
それは期待ゆえの厳しさも含まれていたし、納得できるところもあったにしても、
バランスを欠いていた、といえなくもない。

それに、あの頃は、いまの状況はまったく予測できなかった……。

Date: 5月 30th, 2013
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(その7)

LS3/5Aは欠点を少なからずもつスピーカーシステムであり、
その欠点をうまく補うように鳴らすことで、
このスピーカーでしか味わえない世界をつくり出してくれる、ともいえる。

LS3/5A以降、小型で優秀なスピーカーはいくつか登場してきた。
ここにスピーカーの進歩を感じるとともに、
スピーカーの面白さと難しさも同時に感じてしまう。
LS3/5Aは、好きな人にとっては、これほどハマるスピーカーは、他にあまりない。
だから、いまでも中古市場で人気があるのだろう。

ときどきLS3/5Aをそのままスケールアップしたスピーカーが出ないものか、と思うことだってある。
あのサイズだからこその魅力、ということも重々わかっていても、
それでも求めてしまうのは、ないものねだりでしかないのだが……。

LS3/5Aは日本市場にけっこうな数が入ってきているから、
中古を探すのはさほど大変なことではないものの、
誰が使ったのか(鳴らしたのか)が、不明なスピーカーは個人的には手に入れたいとは思わない。
できるかぎりスピーカーシステムは新品か、
すでに手に入らなくなったスピーカーシステムであれば、
誰が鳴らしていたのかがはっきりしていてほしい。

そんな私だから、LS3/5Aの復刻のニュースは嬉しかった。
中国製だから、というネガティヴな感情はなかった。

B110のベクストレン製のコーンの表面に塗布されたダンプ材にしても、
T27の周囲に貼られている厚手のフェルトにしても、
サランネット固定用のベルクロテープ(マジックテープ)にしても、
当時のLS3/5Aの質感そのものと思わせる。

どうして、ここまでコピーできるか、と思うとともに、
日本も以前はコピーの国だといわれていたけれど、
果して、これだけ見事なコピーをつくれるのだろうか、ともおもう。

もし日本で復刻することになったら、LS3/5B的なモノになったかもしれない。

Date: 5月 22nd, 2013
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(その6)

LS3/5Aに使われているスピーカーユニットは、ウーファー、トゥイーターともにKEF製で、
型番はB110とT27である。

KEFがいつごろ、これらのユニットの製造をやめたのかは知らない。
でも少なからぬ時間が経過している。

LS3/5Aの復刻にあたって、まっさきに問題となったのはスピーカーユニットをどうするかであったろう。
エンクロージュアやネットワークは、LS3/5AはBBCモニターであるから、厳密に規格が定められている。
これをクリアーするのも、意外に大変らしいのだが、
それでもスピーカーユニットの問題に比べれば、比較的小さなことである。

かなりの数のLS3/5Aをつくることになり、スペア分も含めて、
KEFにB110とT27の再生産を、仮に依頼したとしよう。
KEFが製造を引き受けてくれるかどうかもなんともいえないし、
仮に再生産してくれたとしても、当時のクォリティそのままで、ということになるのかどうかは、
正直なんともいえない。

設計図面は残っているはずだから、それを元に再生産されても、
製造中止になって少なからぬ時間があるわけで、
その間に工場も変化していても不思議ではない。
当時のユニットを生産していたラインがそのままあると限らないし、
そのころの製造スタッフも入れ替わっていることだろう。

これがドイツだったすると、再生産にも期待がもてるのだが、
イギリスとなると、そのへんなんともいえない。

再生産することで、以前のモノよりも質が悪くなることもあるし、良くなることもある。
良くなればそれはそれでいいことなのだが、
あくまでもLS3/5Aの復刻ということに関しては、良くなることを素直に歓迎できない面もある。

Date: 5月 21st, 2013
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(その5)

台湾はそれほど大きな国ではないけれど、中国は広い。
その広い国にはいくつもの、数えきれないほどの製造会社があるだろうし、
それぞれの製造レベルには大きな差があっても不思議ではない。

非常に高い製造技術をもつところもあれば、まったくそうではないところあるはず。
ここではそうでないところに関してではなく、
あるレベル以上の製造技術をもつところを前提として書いていく。

BBCモニターのLS3/5Aは、いまでも日本では人気の高いスピーカーシステムであり、
ロジャース・ブランドでもチャートウェル・ブランドでも、それぞれ復刻モデルが出ている。
これらの復刻モデルはいずれも中国で製造されている。
スピーカーユニットもエンクロージュアも、そうだときいている。

写真でまず復刻モデルを見た時に、
ここまでそっくりに作れるものなのか、と正直驚いた。
あるオーディオ店でロジャース・ブランドとチャートウェル・ブランド、
両方の復刻モデルが並んでいたのを見て、改めて感心した。

どちらもモデルが醸し出している雰囲気は、明らかにLS3/5Aのものだった。
ここまでのコピー技術があるのか、と思う。

自分たちで開発設計したモデルでなくとも、
オリジナルモデルがあれば、ここまでそっくりに作れるのを見て、
長島先生が話された、LSIのコピーのことを思い出す。

こうなってくると、「オリジナル」という意味について、
いままで以上に広く深く考えていかなければならない。

Date: 5月 19th, 2013
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(その4)

1985年ごろだったと記憶しているが、長島先生がこんなことを話してくれた。

たしか台湾のメーカーだといわれた。
彼らは海外の、自分たちよりも技術レベル高い会社のLSIやICをそっくりコピーしてしまう、と。
その方法は実際のLSIを極薄にスライスして内部がどういうつくりになっているのかを見た上で、
そっくりそのまま、どこも変えずに自分たちで作ってしまうのだとか。

たとえばあるメーカーが、そのメーカー独自のノウハウでやっていることも、
なぜ、そんなことをしているのかに関係なく、それに関しても同じに、とにかく作る。
そのコピーの技術は非常に高いし、いずれ彼らの技術力は高くなっていくだろう、と。

開発・設計の技術は未熟でも、
実物があればそれをバラして同じモノを作れる技術は持っている、というわけだ。
もちろん最初から本物そっくりにコピーできたわけではないのだろうが、
それすらも短期間で回路図・設計図がなくとも同じにコピーできる技術を高めていく。

いま自転車の世界でも同じことが行われている、ときく。
アメリカやヨーロッパのメーカーが研究開発費を投じて、
カーボンを使った新しいフレームやホイールを完成させる。

すると台湾や中国のメーカーはすぐさまそれら実物を手に入れて、
カーボンを固定しているエポキシ樹脂を溶かして、カーボンをどのように積層しているのか、バラしていき、
アメリカ、ヨーロッパのメーカーが苦労して開発したノウハウをそのままコピーしていく。
より安価な製品としてしまう、らしい。

そういうこともあってなのだろうか、
いまアメリカ、ヨーロッパのフレームメーカーでは、安価なカーボンフレームに関しては、
台湾、中国で製造していることが常識となっている。
開発設計を本国で行って、製造だけを台湾、中国で行うのならばまだしも、
中には台湾、中国の製造メーカーが開発したフレームで、
自社の製品としてふさわしいレベルのモノがあればそのまま買い取ってしまう、という話もある。

LSIをスライスしてそっくりコピーする技術を1980年代にもっていたのであれば、
自転車のカーボンフレームをそっくりコピーするくらい簡単なことなのだろう。

Date: 5月 19th, 2013
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(その3)

ジムテックが作っていたのはスピーカーシステムばかりではない。
管球式のコントロールアンプとパワーアンプ、それにMM型カートリッジも作っていた。

コントロールアンプのM1はアンペックスのオープンリールデッキAG440のエレクトロニクス部に似ている。
パワーアンプのM100SLはシャーシーのつくりだけでなく、トランスのカバーなど、
明らかにマッキントッシュの管球式パワーアンプの意匠そのままである。
型番は憶えていないが、マランツのModel 500に似たパワーアンプもあったはず。

カートリッジのV-III、V-II ProfessionalはシュアーのM75そっくりである。

ジムテックの技術力がどの程度なのかは、知らない。知る機会もなかった。
実物を見たこともないし、ステレオサウンドでも22号で#1000が取り上げられているだけだ。
私の手もとに22号にはないので、どういう評価だったのかはなんともいえないけれど、
なんとなく想像はつく。

それにしても、と思う。
カートリッジからコントロールアンプ、パワーアンプ、スピーカーシステムまでラインナップとして揃える。
なのにすべて、高い評価を得たモノからの「無断借用」である。

たしかに日本のオーディオの黎明期には、
海外製品をコピーすること(マネ)からスタートしたメーカーはいくつもあった。
ジムテックも、それらのメーカーと同じじゃないか、と思われるかもしれない。

何かに追従するのは日本のメーカーの悪い癖とも、よくいわれていた。
アメリカでマークレビンソンのJC2が登場し話題になった時、
日本のメーカーからいっせいに薄型シャーシーのコントロールアンプがいくつも登場した。

598のスピーカーシステムにしても、その傾向は確かにある。

それでもジムテックのやり方は、
1970年代という、日本のオーディオブームのただ中でこういうことをしてしまうということ、
岩崎先生が指摘されているように自主性・主体性の、あまりな欠如が問題である。

Date: 5月 19th, 2013
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(その2)

スイングジャーナルのオーディオのページにはオーディオ相談室というコーナーがあった。
最初のころは岩崎先生がひとりで担当されていて、
途中から長岡鉄男氏とふたりでの担当、その後斎藤宏嗣氏も担当になられた。

スイングジャーナル 1972年8月号のオーディオ相談室に、こんな質問が読者から寄せられている。
     *
質問:トリオPC300、TW61でサンスイSP100を6畳洋間にて鳴らす。20万円台でグレード・アップしたいが、アンプとスピーカーをそろえたいと思っています。店でジムテックの音を聴いてみて、好みにあった音なのでNo.1000を予定。ラックス507Xに組み合わせようと思いますが、SJでジムテックをとりあげないのはなぜでしょうか。音も評判もいいと思いますが。
     *
オーディオ雑誌の相談のコーナーは、他のオーディオ雑誌にもあった。
読んでいても参考になることはあまりなかったし、
相談コーナーに何か質問しようと思ったこともない。
あるオーディオ雑誌の相談コーナーは、当り障りのないことばかりだった。
少なくとも私が読みはじめたころのオーディオ雑誌の相談コーナーはそうだった。

けれどスイングジャーナルのこのころの相談コーナー、
というよりも岩崎先生の答は、そんなぬるい回答ではなかった。
     *
回答:組み合わせに対してのお答えは、キミがイイと思ったらそれが一番イイ。ひとにいいといわれたってその気になれるもんじゃないし、やはり自主性、主体性がなにより先決なのは人生すべてそう。
「ジムテック」についても自主性、主体性の欠如が問題なのであって、音の良し悪し以前の問題。商品として、金をとって売る品物としての自主性が完全に欠如しているのでは? ひとの名声の無断借用的根性が、SJをしてとりあげさせない理由だろう。音楽にひたる心のふれあいのひとときを演出するのが、ハイファイ・パーツ。そこに気になるものがわずかなりとも存在することに平気なら、どうぞジムテックを。何10万もする高価な海外製品を使うのも心の安らぎと、ぜいたくに過ごしたいという夢からなのだ。ハイファイというのはそういうぜいたくが必要なのである。しかし、それはたとえ少しでもまがい者的ではいけないのだ。
     *
1971年8月号のジムテックの広告にコメントを書いていた「一流の耳をお持ちの方」とは、
気概から何もかも違う人もいた。

Date: 5月 19th, 2013
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(その1)

昔、ジムテック(JMTEC)というオーディオメーカーが日本にはあった。
私がオーディオに興味をもった1976年には縮小に向っていたから、
この会社の詳細についてはほとんど知らない。

おそらく1971年ごろ登場した会社で、秋葉原にあった。
最初はスピーカーシステムだった。
型番の他に名称をあえてつけていた。

LING OF KING(#7000)、QUEEN OF QUEEN(#5000)、JACK OF JACK(#1000)、
それぞれ121000円、99000円、69000円だった(括弧内が型番)。

KING OF KINGという名称をもつ#7000はアルテックのA7によく似ている。
ウーファーの外観もアルテックの515にそっくりである。
ホーンの形状は違うものの、ジムテックという会社名からして、
アルテックとJBLのいいとこどりをしよう(しています)的な臭いがしてくる。

そういう会社なのにJMTECのロゴにはⓇがついている。

けれど、世の中にはこういう会社の、そういう製品を褒める人もいる。
1971年のジムテックの広告には、
「一流の耳をお持ちの方にテストしていただきました──その結果は?」という見出しの下に、
ジムテックにとって「一流の耳をお持ちの方」のコメントが載っている。

誰が書いているのかまでは、ここで晒すつもりはない。