日本のオーディオ、日本の音(その14)
ラインレベルの出力をもつ入力ソース側の機器としては、
チューナーやカセットデッキがあり、1982年秋からこれにCDプレーヤーが加わった。
チューナーやカセットデッキ、CDプレーヤーの違い、
アナログ機器とデジタル機器といった違いではなく、
リアパネルを比較したときの違いとして目につくのが、ヒートシンクの有無である。
私が見た範囲ではチューナー、カセットデッキのリアパネルがヒートシンクがついているモノはなかった。
けれどCDプレーヤー登場の、
わりと初期(1980年代なかごろまで)の製品のリアパネルにはヒートシンクがついているのが、いくつもあった。
このヒートシンクは、電源のレギュレーター用である。
ヒートシンクといっても、パワーアンプの発熱量とくらべればそれほど多いわけでもなく、
ヒートシンクも櫛の歯状のフィンのものが多かった。
だから指でフィンをはじくと、けっこう盛大に音を出すモノもあった。
そして、中には成型したゴムをフィンに取り付けて鳴きを、ほとんど抑えているものも出てきたし、
すこし後にはフィン状ではなくチムニー型ヒートシンクも登場してきた。
リアパネルに飛び出した、それほど多くないヒートシンク、
指ではじけば鳴くといっても、パワーアンプのそれとは比較にならないほど小さな鳴き、
しかもパワーアンプは出力段のパワートランジスターが取り付けてある、
増幅段に直接関係してくる個所にあるのに対して、
CDプレーヤーのヒートシンクは電源用のものであり、直接には信号回路には関係しない個所のものでる。
にも関わらず、リアパネルのヒートシンクの鳴きを、どう処理するかによって、
そのCDプレーヤーの音は変っていった。