the Review (in the past) を入力していて……(その38)
マークレビンソンのアンプが登場して、何が変ったかというと、
いくつかあるなかでまず挙げられるのは、それまでオーディオコンポーネント(組合せ)において、
主役はあくまでもスピーカーであったのが、特にML2Lの登場以降、
アンプのほうが主役になってきたように感じている。
さらに80年代にはいり、アポジーのスピーカーの登場で、
低インピーダンス・低能率のスピーカーを十全に駆動するために、パワーアンプの規模が大きくなり、
アンプの顔つきも変ってきたのではないだろうか。
パワーアンプはスピーカーを鳴らすための、ある意味、裏方という考えは、さも古い、といわんばかりに、
パワーアンプが、存在を自己主張しはじめてきた──、そんな印象すらある。
早瀬さんが導入したクレルのEvolution 302は、出力が、8Ω負荷で300W+300Wだから、
お世辞にもコンパクトなサイズとは言えないが、パネルフェイスといい、
ヒートシンクを筐体内におさめたコンストラクションといい、
受ける印象は、どことなく地味で質素なところがあり、オーディオコンポーネントの主役は、
アンプではなく、スピーカーである、と語っているようにも受けとれる。
これは、ダゴスティーノがスピーカーを手がけたことと、決して無関係ではないはずだ。