Mark Levinsonというブランドの特異性(その19・訂正)
(その19)で、ルボックスのパワーアンプA740にバランス入力が装備されていると書いてしまったが、
たまたまA740と、その元となったスチューダーのパワーアンプA68のサービスマニュアルが
PDFで入手できたので、いったいどこがどう違うのか見比べていたら、間違いだったことに気がついた。
A740にはRCAピンジャックにすぐ下にXLR端子が設けられている。
A68はプロ用ということもあって、XLR端子のみで、もちろんバランス入力。
だからA740もそのままバランス入力を備えているものと思い込んでしまっていた。
A740のXLR端子は、RCA入力に並列に接続されているだけのアンバランス入力である。
A740とA68の内部は、よく似ている。
A740には、A68にはないメーターが装備され、スピーカー切替スイッチもついてる。
短絡的に捉えるなら、そういった装備により、多少音は影響されるように思いがちだが、
瀬川先生は、A68よりもA740の音を高く評価されていた。
性能が向上している、といった書き方だったように記憶している。
だがいったい、どこがどう違うのだろうかと、ずっと知りたかったことがやっとわかった。
A740とA68は、パワーアンプ部と電源の回路は同じだ(細かい定数までは、まだ比較していない)。
ブロックダイアグラムをみると、どちらもパワーアンプの前段にプリアンプとフィルターをもっており、
ここが2機種の相違点である。
A68は、まずRFフィルターを通り(バランス構成で、コイルが直列に挿入されている)、
入力トランス、ゲイン14dBのプリアンプ、その後にハイカットフィルター、
そしてパワーアンプへと信号は渡されていく。
A740にはRFフィルターはなく、レベルコントロールを経て、
ゲイン7dBのプリアンプ(回路構成はA740と同じ、上下対称回路)、
その後のフィルターはハイカットとローカットの2段構成で、パワーアンプの回路へとつながっている。
プロ用、コンシューマー用と、使用状況に応じての信号処理の使い分けである。