Date: 9月 15th, 2011
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(続々続45回転のこと)

ハーフ・スピード・カッティングにやや懐疑的な私だが、
それでもハーフ・スピード・カッティングにはこの方式のよさはあるはず、とは思っている。

たとえばプリエコー(ゴーストともいうこともある)の問題がある。
アナログ録音の時代には、録音されたマスターテープは巻いた状態で保存されるわけだが、
テープが重なっている状態では、転写という現象が起こることがある。
重なり合ったテープ同士が干渉し、
ごく低いレベルではあるがテープに記録されている磁気変化が積み重なっている部分にコピーされてしまう。

つまり無音であるところに、続いてはじまる曲が小さな音でコピーされ、それが音として聴こえる。
これから再生しようとするところの音が鳴ってくるところから、プリエコーと呼ばれる。
実際にはプリエコーだけでなくアフターエコーも生じている。

このプリエコーの主な原因はテープ録音に起因するものだから、
ダイレクトカッティングには生じないものと思われている人かもしれない。
だがテープ録音を介在しないダイレクトカッティング盤でも、わずかだがプリエコーが生じているディスクがある。

なぜ、こういう現象が生じるかといえば、
ラッカー盤に音を記録していくとき(カッティングしていくとき)、
振幅の激しい溝がたまたま無音溝と隣接していた場合、
カッティング時の振動によって無音溝をほんのわずかとはいえ変形させてしまうからである。
ラッカー盤がひじょうに硬質な材質であったならば、こういうプリエコーは発生しないだろうが、
実際にはラッカー盤はそうではなく、場合によっては隣接する音溝の影響による変形が生じている。

これはなにも無音溝に対してのみ発生しているわけではなく、
すべての音溝に対しても同じことがいえる。
ただプリエコー(アフターエコー)のレベルが低いため、無音溝でははっきりと聴きとれるが、
通常の音溝のところでは、そこに刻まれている音にマスキングされているだけの可能性もあるわけだ。

カッティング時のプリエコー発生は、あたりまえだがダイレクトカッティング盤だけの問題ではない。
通常のテープ録音をマスターとするレコードでも同じことは起る可能性はある。

そこで思うのは、このカッティング時の隣接する溝の変形は、
ハーフ・スピード・カッティングと通常のスピードでのカッティングではまったく同じなのだろうか。
感覚的にはハーフ・スピード・カッティングのほうが影響の度合いが少ないように思えるのだ。

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