Mark Levinsonというブランドの特異性(その34・補足)

この項の(その34)で、すこし触れているマーク・レヴィンソンが録音・制作し、
MLAシリーズとして発売されていたアナログディスク。

レヴィンソン自身が言う、「音楽のイベントを正確に捉える」こととは、いったいどうものなのかを知る上で、
これらが録音されて30年以上経っているが、それでも、いま一度聴いておきたい。
そう思っていても、1枚7000円していたMLAのレコードを、いったいどれだけの方が購入されただろうか。
ごくごくわずかだろう。
それらが中古レコードとして出回ることは少ないだろうし、ばったり出会すことも稀なのはわかっているが、
そう思うと、よけいに聴きたくなるものである。

ふと、もしかして、と思い立って、Red Rose Musicのサイトを見たところ、
MLAシリーズのレコードすべてではないが、いくつかは、SACDで、いまでも入手できる。

当時、45回転LPで4枚組、つまり7000円×4で、28000円した、
チャールズ・クリグハウムのオルガンによるバッハのフーガの技法が、いまでは10ドルで購入できる。

レヴィンソンは、ステレオサウンド 45号のインタビューで、ソース・マテリアルという言葉を使っている。
日本では、プログラムソースという表現は使われるが、
原料・材料、資料・データの意味の material を使うことは、まずない。

この言葉に、レヴィンソンの考えがはっきりとあらわれている、と言えるだろう。
それとも、アメリカでは、ソース・マテリアルは一般的なのだろうか。

スチューダーのA80をベースにしたマスターレコーダーを20台用意して、
マスターテープを20本、同時に製作し販売することを考えていたレヴィンソンだから、
アナログディスクへの思い入れよりも、よりよい状態での提供を第一としていたのだろうから、
聴き手であるわれわれも、ソース・マテリアルとして、MLAのSACDを捉えたほうがいいのかもしれない。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]