Date: 7月 12th, 2011
Cate: 瀬川冬樹
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確信していること(その14)

「コンポーネントステレオの世界 ’80」の巻頭文のタイトルは、「80年代のスピーカー界展望」にもかかわらず、
冒頭はマイケルソン&オースチンのB200の話からはじまる。

当時の輸入元の表記では、マイケルソン&オースチンだったが、
瀬川先生は、ミカエルソン&オースチンとされている。
瀬川先生の、オーディオに関する固有名詞のカタカナ表記へのこだわりは、このMichelson & Austinだけでなく、
いくつかのブランド名、型番でも見受けられることだ。

ミカエルソン&オースチンのデビュー作は、KT88プッシュプルで、出力70Wの管球式パワーアンプで、
出力管が同じで出力もほぼ同じ、さらにシャーシのクロームメッキと共通点がいくつかあったことで、
80年代のマッキントッシュMC275的存在として受けとめられていたし、
実際そのデビュー作TVA1の音は、どんなにトランジスターアンプが進歩しても出し得ないであろう、
音の質量感とでもいいたくなるものがあって、その音の質量感が、スピーカーからはなたれるとき、
音に特有の勢いがあり、真空管アンプならではのヴィヴィッドな感触を生んでくれる。

ミカエルソン&オースチンはTVA1に続き、EL34プッシュプルのTVA10を発表、
そしてEL34を片チャンネル8本使ったB200を出した。

TVA1、TVA10はステレオ仕様だったが、B200ではモノーラル仕様に変更、出力も200Wと、
そのころ発売されていたアメリカのオーディオリサーチのパワーアンプでも、
これだけの出力を実現してはいなかった、と記憶している。

すでに製造中止になっていたマッキントッシュMC3500に次ぐ出力をもつ管球式パワーアンプが、
アメリカからではなく、節倹の国イギリスから登場したことも、このアンプに対する興味を増すことになっていた。

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