ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その49)
このころ、いい音と感じていたのは、スピーカーシステムでいえばスペンドールのBCII、
JBLの4341、4343、KEFの105に104、
カートリッジだとEMTのTSD15、ピカリングのXUV/4500Q、
エレクトロ・アクースティック(エラック)のSTS455E。
アンプでは、マークレビンソンのLNP2、DBシステムズのDB1、スレッショルドの800Aといった機種が、
聴くことのできた数はけっして多くなく、地方で聴けるもの、という条件の中ではあったけれど、
これらのモノが、すぐに頭に浮ぶ。
大半が音の描写線・輪郭線の細いものであって、図太い線のものはなかった。
このことと、読んでいて共感できる瀬川先生の文章とが相俟って、
線の細い音を好むんだなぁ、と感じはじめていた。
「HIGH-TECHNIC SERIES 3」が出たころ、私が住んでいたところにも、本格的なオーディオ店ができた。
それでもバスに乗って1時間ちょっとかかるところではあったけれど、
ステレオサウンドでしかみかけない、海外のアンプやスピーカーシステムを置く店ができ、
ここに瀬川先生が定期的にこられていた。
だからよけいに「HIGH-TECHNIC SERIES 3」の巻頭の鼎談記事はうなずきながら読んでいた。
私が求めている音は、瀬川先生よりの音であって、
井上先生や黒田先生が高く評価されているピラミッドのT1的な世界ではない、と思っていた、
というよりも、思うようにしていた、といったほうが、いまからみると、より正確かもしれない。
それに、こまやか、こまやかさ、は細やか、細やかさとステレオサウンドだけでなく、
ほんとんどのオーディオ雑誌では使われていたことも、関係してくる。